2012年10月26日金曜日

授業づくりサークル「原発事故をめぐる問題」その1


10月20日(土)に授業づくりサークル「原発事故をめぐる問題~子どもとともに考える」を開催しました。

教員・学生・会社員の方など、いつもより多い約30名が参加。福島から参加された方も3名おり、このテーマへの関心の高さがうかがえました。

原発事故をめぐる問題について、子ども達と共に“立ち位置”を探す試みを繰り返し行っている本山さん(中学校教員)により、まずは最近実践した授業内容についてお話していただきました。


▼フォトランゲージ
フォトジャーナリストが盗撮した発電所内部の写真やJOC臨界事故被害者の火傷跡、チェルノブイリの廃墟、事故後の福島第一原発の写真など、子ども達とともにフォトランゲージをおこなった写真をみる。

▼大熊町の教育長のお話
今年8月にお話を聞きにいった大熊町の教育長から聞いた、事故直後の避難の様子、学校再開の様子、現在抱えている問題などについて子ども達に伝える。

▼新聞記事の読み込み
4つの新聞記事を読み込む(中学生に向いている記事を選択するために、数社の何百もの記事を読んだとのこと!)。
  1. 「戻らぬ友 待つ教室」
  2. 「滋賀県ヨウ素剤備蓄」「基準250倍セシウム」「チョウ、被ばくで異常」
  3. 「闘う浪江町「希望の牧場」」
  4. 「【震災関連死】避難で疲労433人 原発事故で長期化 転居続きストレス増す」
▼子ども達の作文を読む
子ども達が記事の読み込みをした後に、感じたこと・考えたことをまとめた文章を読む。(※一部抜粋)
  • 私達の記憶の中で薄れてきてしまっている原発問題で闘っている人がいることを忘れてはいけないと思います。そして(浪江町に牛とともに残っている)吉沢さんの訴えを私達や政府は受け止めていかなければならないと思います。吉沢さんは自分自身が被ばくするのを恐れずに牛を守っています。私達が作ってしまった原子力発電所で、たくさんの動物、そして人の生命が危険にさらされ、失った生命も中にはあったと思います。原子力発電所にいままで日本は依存してきましたが、もっと人に安全なクリーンエネルギーを使っていくべきではないかとあらためて感じました。日本ではない他の国では、原子力発電所を使わなくても生活できているところもあります。政府は、便利さを求めることよりまず最初に人や動物、そういった生命の安全を考えるべきではないでしょうか。
  • 僕は吉沢さんのしている活動はすごいことだと思う。自分の体のことは考えずに、ただ牛のためだけに牧場に残り、牛を守り続けることはとても勇気が必要だと思うし、大変だとも思う。だからすごいと思った。しかし、吉沢さんの意見や活動には反対だ。なぜなら「死ぬ覚悟で国民の命を救え、と言いたかった」とあるが、国は国民の命を救うために避難命令を出しているわけで、今でも放射線がとても高い地に残り続けて活動していること自体が自らの命を危険にさらし、命をむだにしているようなものだと思うからだ。
  • 地震や原発事故に悩まされ、苦しんでいる人はたくさんいるということをあらためて思い知りました。住みなれていない町で暮らすことがすでにストレスになるというに、そこで落ち着く暇もなく新しい町へ何度も移転するのは相当ひどいストレスになることは、経験していない私でも分かります。この先も、このように苦しみながら亡くなってしまう人が何人もでてしまうのかと思うと重い気持ちを感じます。
  • 3月11日の東日本大震災があったとき、私はとてもこわくて、自分のことしか考えられていませんでした。でも、ニュースを見た時、福島の原子力発電所の事故があったときいて、とても驚きました。お父さんに放射線のことを聞くと、命に関わることだと教えてもらいました。ここで初めて放射線のおそろしさを耳にしました。東京にいても、こんなに怖いのに、福島の人々はどんな気持ちなんだろうと考えさせられました。そして、吉沢さんは「絶望ばかりのこの場所で、原発事故の意味を問うていきたい」と言っています。私はこの人はとても悔しいんだろうな、と思います。東京の電力をつくるもので、福島の人々の生活がおびやかされているのですから、当然だと思います。
  • 福島県の地方紙を読んで複雑な気持ちになった。先生は原発の近くに住んでいる人は原発で多く働くと言っていたが、その職場が日本でも世界でも悪い意味で名が知られ、さらに仕事もなくなり、害があると避難に避難を重ね死んでしまったことはとても無念なことだと思う。また、テレビで原発近くに住んでいる人は原発からのお金で生活を支えていると聞いた。生活をしていくために原発の近くで住んでいたのに、その原発のせいで生活する場から家族や環境まで失ってしまうなんて悲惨だと思う。
  • 今でも原発が問題となっていて、原発が本当はとても害のあるものだと知っているけれど、テレビで「原発再開」や建設途中の原発があるというのを聞くと私達の将来が不安になる。原発はたくさんの電気を生むけれども、同時に大きなリスクを背負っているのだから、他のエネルギーに変えるべきだと私は思う。また、大量の放射能を含むゴミも出されている。このゴミをゴミ置き場に置いておくだけで処理もできないのに、開発していくなんて身勝手すぎるし、あとのことを考えないで、コトを進めている政府や原発関係の人達が無責任すぎると感じる。事故から1年以上経っている今でも片付かない問題が多すぎると思う。
次回は、参加者の話し合いと感想を報告します。
(宮崎)

2012年10月12日金曜日

マンチェスターの素敵な町

マンチェスターでは、元マンチェスターDEPで『Global Express』を担当していた、キャシー・ミドウィンター氏のお宅にお世話になった。
キャシーは、10年前の京都の全研で、このグローバルエクスプレスを紹介してくれた。
その後、様々な時事問題を教室に届ける、日本版グローバルエクスプレスをつくるチームが立ち上がり、続けて活動を行っていることを、伝えると、とてもうれしそうだった。
残念ながら、英国の活動は資金難で終わってしまったが、その活動が日本で続いていることに、感動していた。

ヨーロッパ出張最後の日は、キャシーと、キャシーの住むマンチェスターのChorlton(チョ―ルトン)という町を散歩した。

「ここはとても素敵な地域なのよ」とキャシーが何度もうれしそうに言う。
アートギャラリーや、工房もあるリサイクルのアートショップ、オックスファムなどのチャリティーショップも並ぶ。行く先々で、おしゃべりに花が咲き、なかなか前にすすまない。
週末ごとに開かれるバザーや、コンサート、様々なイベントが住民の手で作られると言う。 

リサイクルのアートショップ
キャシーが定期的に立ち寄るOXFAMブックショップ
町の人が集まる生活協同組合のお店ユニコーンには、イギリス国内で作られた有機野菜や、果物、穀物や調味料、フェアトレードの品物も並ぶ。
それぞれの商品には説明が書かれてあり、フェアトレードがなぜ、高いのか、とか、有機野菜の生産者の顔も貼られている。


オーガニックビールがたくさん!
眺めているだけでも楽しい。みんなへのお土産を購入。

今は、引退したキャシーは、これからもこの町でいろいろ活動したいと言う。
自分の町をこんなに愛せるなんて素敵だな。

その後、夏休み中、DEARでインターンしてくれた、マンチェスター大学の学生、河村君に会って、パブで乾杯!勉強、頑張っていました!


ヨーロッパ出張最後の夜は、キャシーと、パートナーのポールと3人で乾杯!
今度は、10年もたつ前に会おうね、と約束しました。


みなさまお世話になりました。
おかげさまで充実した出張になりました!また、日本に帰って頑張ります。
(中村)

2012年10月10日水曜日

ミリアムとの再会

10月8日(月)の朝、ヨークを離れ、マンチェスターへ。
DEAR関係者が翻訳した『グローバルティーチャーの理論と実践』や『ワールドスタディーズ』など数多くのグローバル教育の本を執筆したミリアム・ステイナー氏とそのパートナーのボブ・ハースト氏宅にお邪魔した。

ミリアムとボブ
ミリアムに最初に会ったのは、なんと20年前のERIC主催の第1回「グローバル教育セミナー」。
私は学生でボランティアで関わった。参加型で世界のことを学ぶ手法や考え方にそこで初めて出会った。その時の衝撃は今でも覚えている。

ミリアムは日本を訪れた時のアルバムを見せてくれた。
日本がとても好きで、部屋にも日本の浮世絵がたくさん飾ってあり、庭には日本庭園をつくり、ランチには日本料理をつくってもてなしてくれた。感激!


ボブはマンチェスターDEPを立ち上げた一人で、オックスファムなどにも関わった後、開発教育の評価やインパクト調査に長年関わっているので、今回いろいろ話しを伺った。

基本的なことかもしれないが、評価はサイクルで、直線ではないこと(計画→実行→評価)が常に回り続けること、や専門家ではない、とか広すぎて評価できない、というのではなく、今ある所からいくらでも始めることはできるし、得られた情報がどういう意味を持つのか、より深く分析することで、改善につなげることがたくさんあり、複数でプログラムや生徒の学びを振り返ったり話し合うことで評価自体が参加型の学びになること、を話してくれた。

そういうサイクルをDEARの教材や開発教育のプログラムにも提示できると良いのでは、といろいろ考えました。二人のもてなしにより、またまた長居をしてしまった。
お二人に感謝。

マーゴの家同様、庭では野菜や花を育て、鳥が集まり、素敵なお宅でした。


(中村)

2012年10月9日火曜日

ヨークの週末

週末はヨークのマーゴ・ブラウン氏のお宅にお世話になりました。
マーゴはグローバル教育センター(ヨーク)を引退して、
今は、数々のボランティアなどに関わっています。
庭でたくさんの野菜を育て、人権問題のボランティアに関わり、
コミュニティのイベントに参加していて、
普段の暮らしから学ぶことが多いです。

日曜日は、マーゴのパートナーのピーターと3人で
ヨークシャームーアのRoseberry Toppingでハイキングをしました。
イギリスの人は歩くのが好きなんですが、
彼らも健脚で、5時間ぐらい歩いても、
全く疲れを見せず、さすが!

奇跡的に風もなく、気持ちのよい週末でした!

頂上でスタンドアップしました!




(中村)

2012年10月6日土曜日

リーズ開発教育センター

朝早くロンドンを離れ、電車に乗って2時間半、Leeds開発教育センターを訪れた。
1978年から事業をやっている老舗のDECだ。
そして、その事業も幅広い。教員研修やフェアトレードスクールの研修会、教材作成、アドボカシーなど。主に、教員向けのプログラムを説明してくれたアダムの他に、トリシア、アリソン、ハナ、スタッフみんなが代わり代わりに自分の事業を説明してくれた。

プログラムの評価については、知識をはかることはやりやすいが、態度や意識の変化をはかるのは非常に難しいということであった。
それでも、先生と一緒に項目ごとの指標を作り、実践をしている。
それらの指標は先生自身が自分の授業を振り返ったり、するのにとても重要だという言葉が、耳に残った。

LeedsDECのスタッフ、左からトリシア、アリソン、アダム

リーズ大学の学生がボランティアに来ていたり、雰囲気もDEARと似ていて、とても居心地がいい。
入門講座タスクの浜田祐子さんも、以前、ここでボランティアをしていた。

ついつい長居をしてしまい、ランチに一緒に食べたレバノン料理屋さんのゲバブサンドの美味しかったこと!イギリスに来てやっと美味しい物が食べれたと、感謝した瞬間でした!

フェアトレード担当のハナさん
(中村)

2012年10月5日金曜日

ロンドン大学で報告会

ロンドン5日目。めずらしく雨がふらなかった。
午前中はThink Global(元DEA)でお話を聞いた。
DFIDの資金が大幅に削られる中で、ネットワーク団体としても教員研修などをして生き残りを図るということだった。
でも、他のDECからは、その取組みは、ネットワーク団体として行なうことではないし、競合するので、やめてほしい、という意見を聞いていた。
なかなか、難しい。

ダグに頼まれて、開発教育研究センター主催で「日本の開発教育」と題して、報告会を行った。
ショートノーティスだったので、何人来てくれるか心配だったけど、最後には20人くらい集まってくれた。主に、地域で広がる取り組みや、地域からグローバルへの視点、3.11以降の取り組みなどを話した。

日本の教育の中でどのくらい国際的なことが扱われているのか、若者の関心の変化、3.11以降の変化、などの質問があった。
学校の先生も何人か来てくれて、教材などに関心を持ってくれた。

参加してくれた小学校の先生
大学のオリエンテーション期間で、ロンドン大学 Insitute Of Education のEducation And International Development MAコースの日本からの学生さんがたくさん参加してくれた。
報告会の後、みんなでパブに行って、いろいろお話しました。
みんな、社会人経験があったり、協力隊に行っていたりして、意識が高く、楽しい学生さんたちでした。日本に戻ったら、ぜひ、開発教育にも関わって欲しいです。

ロンドン大学の学生さんたち
(中村)

2012年10月4日木曜日

開発教育かグローバル教育/学習か?

リスボンやロンドンで開発教育関係者と話して感じるのは、開発教育という言葉ではなく、「グローバル教育」または「グローバルラーニング」という言葉を使っていることです。

様々な理由があると思います。
ひとつは、政治的な理由。
Developmentという言葉は、どうしても開発援助と関係し、国際開発庁からの予算取りに有利でもあった時期もあったのですが、政権が変わり、大幅に開発教育の予算が削られる中で、他の省庁から予算を取るには、開発という色がつくことが不利になっていること。
また、日本でも議論があるように、Developmentという言葉が能力開発や、子どもの成長などども混乱されるなど、わかりにくいということ。

一方でグローバルという言葉は、9.11以降重視されるようになった文化理解や、移民への理解、環境や人権などの他の教育領域、グローバル化の影響に対応する教育など、様々な意味を含めて、提案できるので、政治的な意味合いが薄くなり、学校でも使いやすい。
でも、なんとなくぼんやりしてしまうのは否めない。

それも国によって状況が異なり、頑張って「開発教育」を使っているところもあるよう。
そんななかで、もと開発教育協会(DEA)の事務局長ダグ・ボーン氏は、開発教育を学問として確立することをめざし、ロンドン大学のInstitute of Education の中に、開発教育研究センターを立ち上げ、各国の開発教育の実践や理論を集めたり、研究を進めている。

ロンドン大学 Institute of Education
リスボンにも来ていたので、今回ほぼ10年ぶりに会った。
今回の訪問でもいろいろアドバイスをもらい、ダグのネットワークのお陰で、いろいろな人に会えた。さすがです。
お互い、活動や近況などを報告し合った。
日本の政府の状況は変わっていないけど、開発教育の範囲が広がり、素晴らしい実践が全国で行われていることを話した。すると、ダグに、「そういうのは、ぜひ、英語で報告して欲しい」と言われてしまった。確かに、あんまり英語では発信していなかったけど、今回、みんなにDEARの活動や教材をもっと知りたいと言われ、英語で世界に発信することも重要だと改めて感じました。

ダグ・ボーン氏と
会員の皆さんもぜひ、英語で論文を書いたら、DEARにも送ってください!
日本の実践や報告は必要とされているようです。
(中村)

2012年10月2日火曜日

ロンドン報告1 素敵なDEC

リスボンからロンドンへ。
一番違うのは、気候。日中も肌寒くコートが必要。そして雨がふり、なかなか青空が見えない。
ほぼ10年ぶりのロンドンは、オリンピック効果もあってか、地下鉄も道路も綺麗になっている!

ロンドンでは様々な団体にインタビューをして、活動内容や状況、評価をどのようにしているのかを調査する。
今日は、2つのDEC(開発教育センター)を訪れた。
その内の一つ、RISC(Reading international solidarity centre)を紹介します。

ロンドンから電車で30分、レディングにある開発教育センターはただのセンターではない。
1階には、Cafeがあり、英国で一番広いと言われるフェアトレードショップや開発教育の教材が販売されている!種類も豊富で、つい長居をしてしまう。

品物も豊富なフェアトレードショップ
1階のカフェで、エチオピアのシェフがつくる美味しいランチを食べようと思ったけど、今日はお休み。残念。
2階、3階には広い研修室や、開発教育センターの事務所、そして屋上ではなんと、有機野菜や果物を育てており、生ゴミは全てコンポストへ。カフェではここの野菜を使う。10年前から始めたという屋上の畑には緑が生い茂り、鳥が巣をつくっている。さらに、ソーラーパネルを設置して、エネルギーもまかなっている。



なんて素敵!
もともとは、市の土地で、入っていた本屋が移転する時に、3つの建物を全て、DECに安く売ってくれたという。カフェやショップでの収入もあり、予算が減らされた開発教育センターもなんとかやっていけるという。

もと教員で、センターに勤めて10年目のルイーザから話を伺った。
主に、教員の研修や教材やカリキュラムを作っている。屋上の畑には、子どもたちを呼んで講座をしたり収穫をしたりもするという。

話をしてくれたルイーザ
                           
4年間かけて、4つの小学校と2つの中学校で「グローバルスクールプロジェクト」と題して、子どもたちの変化を見る指標をつくり、先生と一緒に分析した。それが冊子になっているので、早速購入した。
子どもたちの変化はそう簡単には表われない。でもそれを見る物差しや視点があれば、自分たちで振り返ることができる。今後の予算取りにも重要になる。

DEARの活動も紹介すると、地球の食卓や、100人村などの教材、グローバルエクスプレスの活動などにも関心を持ってくれた。そして、「ロンドンオリンピック」の教材を見せると、日本語なのに、ぜひほしいと。日本の先生たちが何をしているか、とくに、原発の問題をどのように教えているか、にもとても興味があると言っていた。

日本の先生と英国の先生の実践交流もできると面白いのかもしれない。
そして、DEARに土地を安く譲ってくれる人いないかしら?と一瞬夢をみたりしました。
(中村)