メンツェル夫妻を迎えて『写真で学ぼう!地球の食卓』ワークショップ&トークイベントを開催!

こんにちは。事務局の八木です。
9月18日(日)に『地球家族』『地球の食卓』シリーズ(TOTO出版)で知られる報道写真家、ピーター・メンツェルさんと、パートナーでありプロジェクトプロデューサーであるフェイス・ダルージオさんをお迎えし、ワークショップ&トークイベントを開催しました。

ピーターさん(左)、フェイスさん(右)と通訳の藤岡さん(中央)

お二人の写真プロジェクトに惚れ込み、教材『写真で学ぼう!地球の食卓』をつくってしまったDEARにとっては、ご本人に会えるなんて夢のようなできごと!企画が決まった時から、この日をとても楽しみにしていました。



会場の東京農業大学には、満員の70名の参加者が集まりました。冒頭にお伺いしたところ、なんと、約半数もの方が「教材を授業などでつかったことがある」ということでした。

第1部 『写真で学ぼう!地球の食卓』ワークショップ

まずは、写真をつかった基本的なワークショップを実施。教材の中から4家族(インド・中国の北京郊外・エクアドル・トルコ)の写真のどれか1つをグループに配り、そこから読みとれるものを、どんどん書き出していきます。

グループワークの様子をみているフェイスさん

発表した後、日本と米国の家族の写真2枚を追加します。先の4家族と比較すると、加工食品の多さやパッケージされた食品の多さに驚きの声があがります。

その後、6家族の写真を「ゴミがたくさん出そうな順」、そして「健康的だと思う順」に並び替えをしました。日米の食卓から出るゴミのほとんどは、プラスチック製品や紙類、そして、食べ残し(フードロス)など。加工食品が多いということは、加工や流通の過程でも、多くの食品が廃棄され、たくさんのエネルギーが使われていることも読みとれます。

加工食品のことを、後半のトークでお二人は「工業製品」と表現していました。

メンツェル夫妻はワークショップに興味津々。会場内をぐるぐる回って、グループ内の会話に耳を傾けたり、写真を撮ったり‥(どんな写真を撮っていたかは、一番最後にご紹介します)。
タブレットとカメラで写真を撮りまくるメンツェル夫妻。

DEARの教材や取り組みを見ていただくのはドキドキでしたが、後半のトークの終盤に「本当に素晴らしい学習のプロセス。わたしたちが仕事を通じて知ってほしい、感じてほしいと思うことそのもの!」と、嬉しい言葉をいただきました。

▼第2部 トークイベント

写真展を開催中の「食と農の博物館」に会場を変え、お待ちかねのお二人によるトークが始まりました。

なんと400枚もの写真スライドをご用意くださり、写真集には納められていない写真も観ることができ、「家族」のその後や裏話的なエピソードも知ることができ、ラッキー!でした。

約20年前の「地球家族」のお話からスタート。このプロジェクトは日本のウキタ家への取材の成功から始まったのだそうです。

冒頭、フェイスさんが「まず、情報開示をしておきたいのですが、わたしたちのプロジェクトは、どこからも資金的な支援は得ていません。だからこそ、何の制約もなく、誰かの意図に左右されることもなく、取材をすることができます。ピーターが写真を撮り、わたしが調査とインタビューを担当しています。すべて自分たちで行っています」とお話しされました。

あれだけのプロジェクトを自己資金でやっているとは!とびっくり。そして、やはり、財源の自立性は活動の自由を保障するのだと、DEARの組織運営のことも、頭をよぎりました。

たくさんのお話の後、ピーターさんは、「世界中の食を取材して学んだことは、ほどほどが大事だということ。先進国の人々は概して食べ過ぎで、運動不足で、健康を害している。伝統的な食事をしているように見える途上国の人々の生活にも加工食品が入りこみ、そして、医療が不足しているために、健康を害している。写真はぱっと見て、自分の食生活と比較することができる。人生に変化を起こすツールになりうる」とお話しされました。

お話を聞いた後、2-3人でグループをつくり感想や質問をシェアしました

また、お二人の活動のモチベーションは、好奇心なのだそう。

そして、「わたしたちはプロとして培ってきた好奇心を生かしながら、取材をし、撮影をし、本をまとめています。先生方の仕事というのは、生徒に対していかに好奇心を発揮していくか、生徒の好奇心をいかに引き出し、伸ばしていくということだと思う」とお話しされました。

また、フェイスさんはこんなお話もしてくれました。
「以前、『続・地球家族』の取材ために、多くの女性に“幸せ”についてインタビューをしました。その時、途上国に暮らす女性の多くが“幸せについて考えたこともない”と答えました。日々、清潔な水を得ること、食糧を確保すること、安全に暮らすこと‥。そういったことが大事なのです。“持続可能性”などというコンセプトは、先進国の問題なのだと気付きました。環境や食糧を奪っているのは誰なのか。先進国の方が多くの責任を負っています。広告や周りの人に流されず、生活をしていくことが必要だと思います」

13時~17時まで、盛りだくさんの内容で、多くの参加者の方に「とってもよかった!」と言っていただけました。アンケートから、幾つか感想をご紹介します。
  • 写真家の方より直接お話が聞けたほか、教材を使っている先生がたくさん来られていて話ができたのがとても新鮮でした。
  • 食に対する人びとの考え方や現状を改めて知ることができた。
  • 何度もこのワークショップを受けているが、今回はまた新たな写真を使いながら「答えを出す」というより「考える」という視点を学べた。直接、ゲストのお話を聞き、より深めることができた。
  • いろいろなことにアンテナを張っていきたいと思いました。
  • この写真教材を使う時、もっと深みをもって(思いを込めて)授業ができるように感じました。
  • こういう学習もあるのだと、新しい世界を知りました。
  • 自分の生活を振り返るよい時間になりました。
  • 先進国の食、改めて見るとなかなかショッキングでした。
イベント開催にあたり、ご協力くださった、東京農業大学のみなさま、アーユス仏教国際協力ネットワークのみなさま、どうもありがとうございます!

DEARスタッフ&ボランティアと

さて、ピーターさんがさかんに撮っていた写真が、後日DEAR宛に送られてきました。たまたまやっていたお祭りと、お寿司やさんでの打ち上げの様子もミックスされた、ちょっと不思議な組み写真になっていました。


(報告:八木)

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