2016年2月25日木曜日

伊藤忠商事で「身近なモノから世界を知るSDGsワークショップ」

2月19日(金)、伊藤忠商事株式会社様からのご依頼で、企業研修を実施しました。参加したのは、グループ企業の広報やCSR担当の方々、約100名。DEARの中村&八木がファシリテーターを担当しました。
約100名が参加。15グループでワークショップをやりました。
テーマは、「身近なモノから世界を知るSDGsワークショップ」。教材『パーム油のはなし』をつかったワークショップを実施した後、「パーム油」をめぐる課題をふりかえりながら、「SDGs(持続可能な開発目標)」について、SDGs達成と企業活動の関連性についてお話ししました。

総合商社で「パーム油」を扱った研修の機会を得られるとは、嬉しいことでしたが、近い分野でお仕事されている方も多くいらっしゃるはず‥。

事前の打ち合わせでは「このテーマで、本当に大丈夫でしょうか?」とお尋ねしてしまいましたが、伊藤忠商事のCSR・地球環境室の皆さんは、「仕事とのつながりを見出しやすいし、SDGsについて知る入り口にもなるので、よいと思います。ぜひ、やりましょう」と背中を押してくださいました。

ワークショップ『パーム油のはなし』。ロールプレイでは熱い議論が‥!
当日、初対面の方も多くいらっしゃったものの、はじまってみれば、グループ内で協力し、話し合い、アイデアを出し‥と、とても積極的に参加してくださいました。

終盤の話し合いでは、ご自身の業務と関連付けながら、課題解決のための具体的な取り組みについてやりとりされる様子がとても印象的でした。

参加された方々からは、以下のような感想をいただきました。
  • ワークショップで色々な方の意見を聞き、自分にはない発想だと思いました。
  • 「身近なものから社会課題を見る」とありましたが、ここまで深堀できるとは思っていませんでした。
  • 様々な立場での考え方の違いを学ぶことができた。食糧を扱う者としても、安定供給に尽力頂いている方々の想いを伝える必要があると感じました。
  • これを機に、当社でできることを考えて行きたいと思います。
  • 遠いテーマのようでありながら、議論を重ねると身近なテーマで、議論のしがいがありました。
  • パーム以外にもテーマを広げてほしい。当社でも実施したい。
「SDGs」についてご紹介して終了。
SDGsのそれぞれの目標は、企業にとっては「足かせ」のように感じられることもあるかもしれませんが、身近な業務の中から取り組めることも多くあり、それは、SDGs達成のために貢献できるチャンスが多くあることを意味します。

講師として参加したわたしたちも、社員の方々の発言を聞きながら、企業の持つ可能性を十分に感じることができました。
(報告:八木)

※DEARの講師派遣についてはこちら

2016年2月22日月曜日

モンゴル・ウランバートルより(その2)

2月18日。「International Policy Forum: Life Long Learning」(生涯学習についての国際政策フォーラム)が開催されました。

モンゴルにおける生涯学習とは何を指すのか、ということも垣間見ることができました。説明では、1990年代以降の民主化の中で、小中高段階が義務教育になったが、都市部以外の地域でのドロップアウト率は高く、彼ら・彼女らが成人した現在、教育不足の問題が顕在化しているため、成人のための教育施設が急務となっているという話でした(参考までにモンゴルの人口は300万人で、約半数が首都ウランバートルに暮らしている)。


フォーラムはMEA(モンゴル教育協会)主催で、60名ほどの参加者の内訳は、市民社会組織、研究者、政府関係者、ASPBAE関係者です。発表者は、政府からは、文部科学省政策立案局長、同じく文部科学省の全国生涯学習センター統括官がそれぞれモンゴルの現状について話しました。

1.ASPBAE事務局長からの挨拶

SDGsの目標4が教育に関連する項目を、Education 2030の枠組みを使って各国で推進していくことになる。教育の質、ディセントワーク(適切な仕事)、若者、就学前教育などが強調され、ASPBAEの基本理念である人権と教育、生涯学習、平和の文化、持続可能な開発の概念に基づいて推進されるべきであることが話された。

2.文科省

生涯学習、国際的な枠組み、SDGs、持続可能性などの概念はモンゴルにとって新しいものである。1990年にUnofficial education centerが全国に設置され、2002年にDistance National Center(約180か所)、2012年にLife Long Learning Centerに改称された。Civil, Moral, Ethical,Familyの分野で活動している。

現在は、就学前教育と大学卒業後の職業教育の視点から、大学研究機関などと協働してカリキュラムを開発中である。

3.パネルディスカッション

ASPBAE理事:インド、インドネシア、EU、オーストラリアの経験が共有された
  • 会場全体で、「生涯学習という概念との出会いの経験」についてバズセッション(会場からの自己紹介で、ある男性が、「もともとビジネスマンで成功したのち、アルコール依存症になり(モンゴルの大きな社会問題)、その後立ち直り、10年かけて医師免許をとり現在はアルコール依存症更生施設を運営。義務教育は修了していない」という自分史を語ったのが印象的でした。)
  • 生涯学習は非常に多面的で人生のあらゆる局面が含まれる。
  • インドネシアの経験:マイノリティグループが多いので、自文化を学びなおす必要性がある。
  • インドの経験:マイノリティグループ。教育そのものが目的ではなく、地域や自分たちの課題を解決するプロセスで生涯学習の視点を持つことが大切。
  • EU(ドイツ):ナチ時代の自分の故郷の様子を聞き取るという宿題が小学校時代にあった。歴史を学ぶ必要性。
  • モンゴルの現在の課題:少数民族の暮らす地域での鉱山開発が彼らに与える影響、アルコール依存症、人身売買、民主化以降のモラル低下など。
4.まとめ
  • 生涯学習の枠組みはあるがそれを現場にどうやって具体化するかのプログラムデザインが課題である。
  • 主としてマイノリティが暮らす地方の行政の理解と協力をどうやって作り出すかが課題。

政府関係者と市民組織の健全な対話が成立している様子は印象的でした。モンゴルの社会は民主化して間もないだけに、さまざまな制度設計が進行中で、国際的な枠組みを取り入れたり市民社会の意見を聞くスペースが多くあると感じました。

また、日本の公民館は世界的にも有名で、モンゴルでも質問をたくさん受けました。
(報告:上條)

2016年2月19日金曜日

モンゴル・ウランバートルより(その1)

こんにちは。代表理事の上條です。2月15日より、ASPBAE(アジア南太平洋基礎成人教育協議会)の会議でモンゴル・ウランバートルに来ています。

昨年11月にベトナム・ホーチミンで開催されたBLDC(Basic Leadership Development Course)研修にモンゴルから参加者があったご縁で、2月16日にMEA(Mongolian Educational Alliance)招かれて、一日研修をしてきました。

MEAは以前、DEARの事務所を訪問したことがあるノンフォーマル教育を推進している団体です。スタッフは11名。広いオフィスは、子ども対象のプロジェクト部門、地域教育部門、教師教育部門の3つに分かれ、少人数の研修ができる部屋もあり、とても温かい雰囲気の事務所です。

『世界がもし100人の村だったら』(マガジンハウス)再話者の池田香代子さん(左)と
2014年8月
今回の研修には、スタッフとMEAのメンバーになっている学校の先生合わせて19名が参加してくれました。DEARの「100人村」のワークショップと、ESDやSDGsの教育に関連する目標(ターゲット4)の概念に関する情報提供をしました。

先生たちは、理科・科学、社会、文学など、多分野の教師歴20年以上の先生がたくさんいました。最初に私自身の自己紹介として、「経験から学び、自分自身が変わった」と感じた体験を話し、参加者にも話してもらったところ、話が止まらず、1時間も自己紹介タイムに。

「MEAに出会って人権教育や世界の問題、子ども中心の学習を知り、自分の教え方が根本から変わった。そうしたら、子ども一人ひとりがちゃんと見えるようになり教室も変わった
「参加型学習を知る前の私の授業を受けた子どもたちに申し訳ないと思っている」、などなど。

MEAでは世界の教育を取り巻く状況について、ESD、EFA、Education2030、SDGsなど様々な情報を先生たちに提供していることがよくわかりました。


「100人村」のワークでは、振り返りを「私の気持ちシート」で行いましたが、圧倒的に「何とかしたい」が多く、「他の人を助ける」ことがモンゴルでは美徳とされている、という話が出ました。

「びっくりした」を選んだ人がいたので理由を聞いてみると、「DEARの事務所に訪問したことがあり、今日、私に会ってびっくりした」とのこと。なぜ「100人村」の感想でそのことを…と思いつつ、ありがたく受けとめました!

DEARの参加型の教材は、テーマを共に学ぶことはもちろんのこと、コミュニケーションを促進し、価値観を共有したり交換したりする媒介としても使えて、通訳を介したワークショップでもとても盛り上がりました。

日本との経験交流をぜひしたいという熱いメッセージもいただきました。
(報告:上條)

2016年2月1日月曜日

フリースペース「えん」でワークショップ2015年度   第4回「強い国って?」

12月7日。
フリースペース「えん」でのワークショップの前に、近くのスーパーである物を買いました。
それはマシュマロ

毎回のワークショップでは、休憩のときにおやつを食べます。
子どもたちもそのおやつが楽しみにしている子もいるかもしれません。
どうして、今日のおやつはマシュマロなのか?

それは、「マシュマロ・チャレンジ」をやるためです!
https://www.youtube.com/watch?v=H0_yKBitO8M
もともと、チーム・ビルディングの手法として紹介されているのですが、今回は導入としてルールを易しくして行いました。
用意したのは、スパゲティの乾麺20本、ガムテープ、マシュマロ。
これらを使って、高いタワーを作ることが目的です。難しいのは、最後にマシュマロをてっぺんに刺して10秒キープできたらOK!というところです。
マシュマロを刺して10秒キープしたらメジャーで長さを測ります。
一人で黙々と作る子、スパゲティの麺を何本も束にして強固にする子、何人かで協力してガムテ―プをぐるぐる巻きにする子、みんな思考錯誤してタワーを作りました。
予想通りの大盛り上がり!

使っていいテープの長さを決めていなかったので、「それじゃぁスパゲティの麺で作ってるっていうより、テープで作ってるじゃん!」と突っ込みが入るほど…。

いつも、「えん」でやる導入のゲームでは、「競わない」ものを選んでいます。
しかし、今回は「より高いタワーを作る」ということをゴールにしていたので、競争になり、負けた子がその場を去ってしまうかもしれないという不安がありました。

いちばん先にタワーを築いた子がいました。メジャーで測ると30センチ!すご~い!と歓声が上がりました。
そのすぐあとに隣りの子のタワーも完成。
なんとさらに高い、50センチ!

そのとき私は「あ、まずい・・・。張り合いになってしまうかな、すねてしまうかな」とドキドキしました。
ところが、そんな心配をよそに、「すごいね~!」とさっきの子がみんなと一緒に拍手しています。
さらに高いタワーを作ることはしませんでした。

他では、作り途中の自分のタワーを差し出して、「じゃ、僕のと合体させようか、はい、あげる~」と言っている子もいました。

またもや、私の中の子ども像という先入観があることに気づかされました。

7台できたタワーの先に刺したマシュマロを食べ、きれいにテープをスパゲティの麺からはがしました。
マシュマロがこびりついた甘いスパゲティは、いつ食べるのかしら。



おやつの時間に世界のタワーについて紹介しました。
「この中で、いちばん高いタワーはどれでしょう?並べ替えてみて」と言うと、「これでしょ~」「いや、これはあり得ない!」など、興味深々でした。
世界でもっとも高いタワーはドバイにあると当てた子も。
みんなに見せたタワーの写真の中で、一番の高さを誇るのは「ドバイ・シティー・タワー」。なんと1,400mもあります。
「うそだろ~」という疑いの声が挙がり、実は2025年に完成予定であることを伝えました。

どうして、もっと高いタワーを建てるんだろう?」と、質問してみると、
「権力を見せるためでしょ」
「見栄じゃない?」
「国土が狭いから?」
「お金が余ってるとか…」
など、面白い答えが返ってきました。

子どもたちの言葉に、バベルの塔を思い出しました。



さて、ここからは本編です。
今回のテーマは「強い国って?」です。
実は、ワークショップの企画会議で、「平和」「戦争」「難民」「軍事」「憲法」などのテーマが出され、何をするか、かなり悩みました。
子どもたちと「平和」や「戦争」について話してみたい、世界で起きている問題について考える機会を持ちたいと思っていました。

しかし、今起こっている現状を伝えたり話すだけでは、子どもたちを悲しくさせてしまうし、退席させてしまうかもしれない。また、情報はいくらでもメディアから入ってきているし、子どもたちはいろいろな出来事をよく知っています。そこで、「どうして戦争状態になるのか」という国と国のやりとりをシュミレーションで体験してもらうことを考えました。

どうして軍事力(ここでは「爆弾」としました)が増えていくのか、というのがポイントです。

シュミレーションは「大人帝国」と「子ども帝国」の2つの国を設け、DEARスタッフ、「えん」スタッフは「大人帝国」側に、子どもたちみんなは「子ども帝国」側に分かれました。
実はシナリオがあり、「大人帝国」は爆弾をどんどん溜め込む国という設定にしてありました。
また、ルールもかなり無茶であるという点も否めませんが…。
シュミレーションの準備とルールは以下です。

【準備したもの】
  • 物カード:お金、医療、教育、食料、爆弾、白紙(出てきたものをその場で作れるように)
  • 状況カード:「災害が起きました」「ノーベル賞をとりました」「隣りの国が爆弾を作りました」など
物カード。「教育」カードのイラストに迷いました。学校、本などの固定観念が自分にあったこと、結局、鉛筆を描いてしまいました…
状況カード
【ルール】
  1. 「強い国をつくる」ことが目的であることを伝える。
  2. 両国ともまず「物カード」を3枚ずつ引き、見せ合う。
  3. 順に「状況カード」を1枚ずつ引き、その状況に対して国の人たちと話し合い、どうするか決める。
さぁ、スタートです!
「子ども帝国」が最初に引いた「状況カード」は…?
なんと、『新しい爆弾を発明しました!どこで実験しますか?』。
シナリオ的には「大人帝国」にそのカードを引いてもらい「ひひひ、爆弾ゲットだぜ~これで強い国になれる」となってもらいたかったのですが…。

「状況カード」を見て、どうするか話しあう「子ども帝国」。
子どもたちに世界地図を見せて、どこで実験するから話してもらいました。
「え、大人帝国はどこにあるの?爆弾落としちゃおっか~(笑)」
「どっかの海、北極は?」
「爆弾なんていらないよ」
「おれ、爆弾なんて作ってないよ、誰が新型爆弾なんて発明したんだ?!」

結局、「子ども帝国」内部は揉め、実験地は決まらず、とりあえず「新型爆弾」は保管することになりました。
爆弾の実験地を話す「子ども帝国」
その後も、さまざまなことが起こりました。

「大人帝国」は『災害が発生!「医療」カードが必要!』という「状況カード」を引きました。
しかし、「大人帝国」は「医療」を持っていません。「子ども帝国」に助けを求めると、交換条件を出してきました。

「医療」をあげる代わりに「食料」と「教育」をくれ、とのことでした。
「大人帝国」はしぶしぶ条件を飲みましたが、「子ども帝国が困ったときに、助けてあげないかもしれないよ!」なんてことも言っていました。

その後、なぜか「子ども帝国」は良い(?)「状況カード」を引き、「お金」を増やしていきました。
シナリオでは、「大人帝国」が「お金」をたくさん持ち、その「お金」で「爆弾」を買いまくるはずだったのですが…。

「お金」を持った「子ども帝国」、しかし何も買いません。「爆弾」も増えていきました。
これには「いざという時とっておく」と言った子に対して、「いざっていつだよ!」と突っ込む子も。

「大人帝国」は「子ども帝国」に戦争放棄を持ちかけました。持っている爆弾をお互いにせーので捨てようというものです。

賛成する子もいました。しかし、なかなか「爆弾」を手放せない子もいました。

全ての「状況カード」が引かれるまで、いろいろな発言がありました。
なんだか、聞いたことのある話がちらほら…。

「敵って誰よ?」
「国の周りに壁を作ろうよ!」
「平和条約結ぼうよ」
「爆弾なんてさ~要らなくない?」
「やっぱり内緒で爆弾持っておいた方がいいよ」
「難民が出たの?そりゃご飯あげないと!」
「戦争手伝ってって言われたら、自分でどうするか選べばいい」
「他の国にバレないように、同盟結ぼう」

「子ども帝国」内でも意見の違いからなかなか話し合いが進まず、フラストレーションが溜まっている場面が多々見受けられました。



「強い国」って結局、どんな国だろう?
そんなモヤモヤが生まれ、シミュレーション最中には、ジレンマが生まれているとうでした。

最後に、YouTubeの映像『ここが家だ ベン・シャーンの第五福竜丸』という絵本の読み聞かせ映像を観ました。

水爆実験で被曝した第五福竜丸の乗組員のお話です。
「新型爆弾の実験は海でやろう」というシュミレーションでの話と繋がりました。

「どうして、爆弾なんていらない、こんなにも願っているのに爆弾は減らないんだろう」
そんな大きな疑問は、今日のシュミレーションで起きた一つひとつの出来事や話し合い、発言が物語っているな…そんなことを思いました。

大きなテーマでしたが、子どもたちにも、何か考え始めるきっかけを作ることができたのでは、と思っています。
(報告:星)