2016年9月28日水曜日

ソーシャル・アクション クラス2016 第1回レポート

こんにちは。
ソーシャル・アクション クラス コーディネータで、国内外の社会問題に取り組むシティズンシップ教育にかかわっているWake Up Japan共同代表の鈴木洋一です。

昨年にはじまり、好評だったソーシャル・アクション クラス(通称、SAC)の2016年度第一回目となるクラスを、9月16日(金) に開催しました。


ブログ(http://dearstaff.blogspot.jp/2015/10/1.html)を読み返してみると、昨年の講座の第一回目は10月16日開催であり、今年は約1か月前倒しで始まっています。

コーディネータの中で振り返りを行ったときに、良かった点、さらに良くなるために変更する点などが話し合われ、今年の講座の内容が決まりました。当日は早めに開場に着き、準備をしていると、続々と受講者の皆さんがお越しになりました。

講座では、初めてということもあり、簡単なSACに関する説明をした後、2つのグループに分かれて、自己紹介を行いました。

自己紹介をすすめるコーディネーターの近藤さん
中には、8月の全研でSACの分科会に参加し、続けて、今回の講座にも参加をしてくださっている方もいました。

自己紹介では、同じ社会問題に関心があることがわかったり、あるいは、開発教育関係の共通の知り合いがいることがわかるなど、すぐに会話に華が咲いていました。やはり、共通点や共通の知り合いがいると一気に関係性は近くなるように思います。

さて、講座の中身についてですが、昨年と内容を大幅に変え、開発教育の基礎を押さえるために第一回目の講座は「パーム油の話」ワークショップを行いました。

開発教育についてのワークショップをSACの講座ですることは、昨年、初めてのSACを終えた際のコーディネータの振り返りで、「DEARの企画でもあるので、やはり開発教育の基礎もしっかり押さえていきたい」という話があがったため、本年度に新たに組み込まれた点でした。

「パーム油の話」のワークショップでは、私たちが日常的に触れている日用品や食べ物のパッケージから共通点を探すアクティビティを行いました。続いて、パーム油をはじめとした植物油脂について学んだうえで、パーム油に関係する現地での写真を使って、そこから読み取れるものをグループごとに話し合いました。写真の中で作業に当たっている人の服装や人種、立ち振る舞いなどから、パーム油をめぐる人間模様を知ることができました。


さらにパーム油をめぐる関係者のロールプレイングゲームを行い、それぞれの立場を疑似的に理解しました。そして、2人組となり、問題解決のために一人ひとりが行えることでどれがより望ましいのかを話し合いました。

課題解決の解決策についても、参加者一人ひとりの背景知識や経験からも違いがあり、理由を話し合うことでより多角的な視点をもつことができました。

最後に、宿題として参加者一人ひとりに「気になるルポ記事やニュースを1つもってくる」という活動が課されました。次回の講座の冒頭で、それぞれが持ち寄った記事の共有を行うこととなっています。

第一回目を終えた参加者の感想をご紹介します。
  • 自己紹介をきいて、みなさん、いろいろ活動してるんだなぁと思った。自分は何ができるかな?
  • 社会課題に興味があるので、自分が気になるものにアクションしていけるのが楽しみです。教員の方がいたり、いろんな人たちとアクションしていくのが楽しみです。仲良くなっていきたいです。☹
  • 社会に、未来に、自分に、コミュニティに、世界に‥いろんなところに熱いハートを持った方たちばかり!出会えてつながれて、嬉しいなぁと率直に思いました。これから何ができるか、未知です(わくわく)。
次回も、楽しみです!
(報告:鈴木 洋一)

2016年9月26日月曜日

「YMCA地球市民育成プロジェクト2016」レポートその(2) ハンセン病療養所への訪問

※レポートその1はこちら

8月31日(水)にはフィールドワークがおこなわれました。
最初に行ってきたのはハンセン病療養所である神山(こうやま)復生病院でした。83歳になる元ハンセン病患者の藤原さんという方にお会いし、海外参加者のために英語通訳を付けながらお話しを伺いました。
ハンセン病への理解とここで暮らしてきた方々の歴史を後世に残すための記念館もあります
藤原さんは車椅子に座ってお話をされていましたが、わたしたちのことを気にかけてとてもわかりやすくお話しをしてくださる、とても丁寧な方でした。多くの参加者にとって、ハンセン病経験者の方に会うのは初めての経験でした。

12歳でハンセン病を発症してから、家族や兄弟と離れ今まで一度も会わずに療養生活を送っている藤原さん。

当時入所していた岡山の国立長島愛生園から東京の多摩全生園へ移ったのち、結核を発症したため、受け入れてくれた神山復生院へと再び移りました。神山復生院では、当時2つの死の病と言われたハンセン病・結核を、カナダから来たシスターや牧師さん、医師が、献身的に介護してくれました。

ハンセン病と聞くと、絶望的な生活をずっと送っているのかと思われるかもしれないけれど、そんなことはないんですよ」と穏やかに話してくださる藤原さん。

神山復生病院では地域との交流もあり、地元のお祭りに参加したり、地域の人とも交流もありました。旅行へ行くと言っても、すぐに「行ってらっしゃい」と送り出してくれ、藤原さん自身もネパールとインドへ2か月ほど旅行に行ったことがあるそうです。

しかしながら、ハンセン病患者として苦しい経験もたくさんありました。

入居していた当時、病院にいた患者は150人にものぼったそうですが、兄弟が結婚をする時に自分の存在が相手に知られると迷惑をかけてしまうからという理由で、多くの若者が20歳前後になると自ら命を断つことを選びました。

藤原さん自身も死を考えたことがあるそうです。ですが、「純粋に死が恐ろしかった」とのこと。幼い時に、偶然山で首つり死体を見てしまってから、死ぬことの恐ろしさを良く知っていたのです。

また、小さい時に家族と離れてから家族の消息は全く分からず、親も亡くなっているだろうがいつ亡くなったのかも知らない。兄弟が何をしてどこに住んいるのかも分からない。そんな状況下で、自分が社会からも誰からも必要とされていないのではないかと感じたことは、たまらなく何よりも辛かったそうです。

そんな中で、神様を信じ、他の誰が必要としなくとも神様だけは自分を必要としてくれていると感じるようになったことで、すこし穏やかに過ごせるようになったそうです。
敷地内の「かえでの森」
「いまでは、すこしでも動く自分の体を人のためにどう使うかを考えています。生きていれば人生には本当に色んな事があり、もちろん辛いこともたくさんあるが、それを人生に必要な試練だと思えるとそれを自分の糧にできます。人にしてあげた事ばかり覚えている人が多いのが事実だが、人にされたことを考え、自分がどれだけ多くの人に支えられているかに気づける人が増えると、社会も変わってくるのではないか」とお話しされ、次の言葉で締めくくりました。

「子どもを馬鹿にするな、それは自分の通った道。年寄りを馬鹿にするな、それは自分が通る道」

少し早目の英語通訳であったためか、海外参加者にとっては少し理解が難しい箇所もあったようでした。しかし、体験に基づく心に迫るお話を聞くことができ「とても印象深かった」という意見が多くの参加者からあがりました。
(報告:中川)

2016年9月23日金曜日

メンツェル夫妻を迎えて『写真で学ぼう!地球の食卓』ワークショップ&トークイベントを開催!

こんにちは。事務局の八木です。
9月18日(日)に『地球家族』『地球の食卓』シリーズ(TOTO出版)で知られる報道写真家、ピーター・メンツェルさんと、パートナーでありプロジェクトプロデューサーであるフェイス・ダルージオさんをお迎えし、ワークショップ&トークイベントを開催しました。

ピーターさん(左)、フェイスさん(右)と通訳の藤岡さん(中央)
お二人の写真プロジェクトに惚れ込み、教材『写真で学ぼう!地球の食卓』をつくってしまったDEARにとっては、ご本人に会えるなんて夢のようなできごと!企画が決まった時から、この日をとても楽しみにしていました。


会場の東京農業大学には、満員の70名の参加者が集まりました。冒頭にお伺いしたところ、なんと、約半数もの方が「教材を授業などでつかったことがある」ということでした。

第1部 『写真で学ぼう!地球の食卓』ワークショップ

まずは、写真をつかった基本的なワークショップを実施。教材の中から4家族(インド・中国の北京郊外・エクアドル・トルコ)の写真のどれか1つをグループに配り、そこから読みとれるものを、どんどん書き出していきます。

グループワークの様子をみているフェイスさん
発表した後、日本と米国の家族の写真2枚を追加します。先の4家族と比較すると、加工食品の多さやパッケージされた食品の多さに驚きの声があがります。

その後、6家族の写真を「ゴミがたくさん出そうな順」、そして「健康的だと思う順」に並び替えをしました。日米の食卓から出るゴミのほとんどは、プラスチック製品や紙類、そして、食べ残し(フードロス)など。加工食品が多いということは、加工や流通の過程でも、多くの食品が廃棄され、たくさんのエネルギーが使われていることも読みとれます。

加工食品のことを、後半のトークでお二人は「工業製品」と表現していました。
メンツェル夫妻はワークショップに興味津々。会場内をぐるぐる回って、グループ内の会話に耳を傾けたり、写真を撮ったり‥(どんな写真を撮っていたかは、一番最後にご紹介します)。
タブレットとカメラで写真を撮りまくるメンツェル夫妻。
DEARの教材や取り組みを見ていただくのはドキドキでしたが、後半のトークの終盤に「本当に素晴らしい学習のプロセス。わたしたちが仕事を通じて知ってほしい、感じてほしいと思うことそのもの!」と、嬉しい言葉をいただきました。

▼第2部 トークイベント

写真展を開催中の「食と農の博物館」に会場を変え、お待ちかねのお二人によるトークが始まりました。

なんと400枚もの写真スライドをご用意くださり、写真集には納められていない写真も観ることができ、「家族」のその後や裏話的なエピソードも知ることができ、ラッキー!でした。

約20年前の「地球家族」のお話からスタート。このプロジェクトは日本のウキタ家への取材の成功から始まったのだそうです。
冒頭、フェイスさんが「まず、情報開示をしておきたいのですが、わたしたちのプロジェクトは、どこからも資金的な支援は得ていません。だからこそ、何の制約もなく、誰かの意図に左右されることもなく、取材をすることができます。ピーターが写真を撮り、わたしが調査とインタビューを担当しています。すべて自分たちで行っています」とお話しされました。

あれだけのプロジェクトを自己資金でやっているとは!とびっくり。そして、やはり、財源の自立性は活動の自由を保障するのだと、DEARの組織運営のことも、頭をよぎりました。

たくさんのお話の後、ピーターさんは、「世界中の食を取材して学んだことは、ほどほどが大事だということ。先進国の人々は概して食べ過ぎで、運動不足で、健康を害している。伝統的な食事をしているように見える途上国の人々の生活にも加工食品が入りこみ、そして、医療が不足しているために、健康を害している。写真はぱっと見て、自分の食生活と比較することができる。人生に変化を起こすツールになりうる」とお話しされました。

お話を聞いた後、2-3人でグループをつくり感想や質問をシェアしました
また、お二人の活動のモチベーションは、好奇心なのだそう。

そして、「わたしたちはプロとして培ってきた好奇心を生かしながら、取材をし、撮影をし、本をまとめています。先生方の仕事というのは、生徒に対していかに好奇心を発揮していくか、生徒の好奇心をいかに引き出し、伸ばしていくということだと思う」とお話しされました。

また、フェイスさんはこんなお話もしてくれました。
「以前、『続・地球家族』の取材ために、多くの女性に“幸せ”についてインタビューをしました。その時、途上国に暮らす女性の多くが“幸せについて考えたこともない”と答えました。日々、清潔な水を得ること、食糧を確保すること、安全に暮らすこと‥。そういったことが大事なのです。“持続可能性”などというコンセプトは、先進国の問題なのだと気付きました。環境や食糧を奪っているのは誰なのか。先進国の方が多くの責任を負っています。広告や周りの人に流されず、生活をしていくことが必要だと思います」

13時~17時まで、盛りだくさんの内容で、多くの参加者の方に「とってもよかった!」と言っていただけました。アンケートから、幾つか感想をご紹介します。
  • 写真家の方より直接お話が聞けたほか、教材を使っている先生がたくさん来られていて話ができたのがとても新鮮でした。
  • 食に対する人びとの考え方や現状を改めて知ることができた。
  • 何度もこのワークショップを受けているが、今回はまた新たな写真を使いながら「答えを出す」というより「考える」という視点を学べた。直接、ゲストのお話を聞き、より深めることができた。
  • いろいろなことにアンテナを張っていきたいと思いました。
  • この写真教材を使う時、もっと深みをもって(思いを込めて)授業ができるように感じました。
  • こういう学習もあるのだと、新しい世界を知りました。
  • 自分の生活を振り返るよい時間になりました。
  • 先進国の食、改めて見るとなかなかショッキングでした。
イベント開催にあたり、ご協力くださった、東京農業大学のみなさま、アーユス仏教国際協力ネットワークのみなさま、どうもありがとうございます!

DEARスタッフ&ボランティアと
さて、ピーターさんがさかんに撮っていた写真が、後日DEAR宛に送られてきました。たまたまやっていたお祭りと、お寿司やさんでの打ち上げの様子もミックスされた、ちょっと不思議な組み写真になっていました。
クリックで拡大します
(報告:八木)

2016年9月21日水曜日

「YMCA地球市民育成プロジェクト2016」レポートその(1) 国際色豊かな参加者たちとの1週間

DEARで7月からボランティアをさせていただいている中川です。よろしくお願いします!

さて、今年の8月29日~9月4日にかけて御殿場で開催された「YMCA地球市民育成プロジェクト」にボランティアとしてお手伝いに行ってきました。

私が参加したのは中4日間(30日~2日にかけて)でしたが、たくさんの日本人参加者と海外参加者とが全日程英語で行うプログラムは、ハードながらもとても充実したものになったのではないかと思います(フィールドワークやワークショップなどについては長くなりそうなので別記事でまとめます)。


台湾、香港、韓国、中国、カンボジア、東ティモールから参加者を迎え、日本からも高校生や社会人まで、幅広い年齢の国際色豊かな参加者がごちゃ混ぜになって過ごした一週間。

最初のうちは他の人の意見に耳を傾けつつ、自分の意見を自分の言葉で発信していくことに難しさを感じていた参加者もいたようでした。ですが、お互いを語学力の面からも生活の面からも積極的に助け合うことで、プログラムの中ではディスカッションの時間が足りないとブーイングをしばしば受けるほどになっていました。(笑)

ワークショップやグループディスカッション、フィールドワークなどを通して、いままで知らなかったことや強く衝撃を受けたこと、他人の意見を聞くことで見えてきた新しい視点など、多くを学び獲得することが出来ました。

また、これまで関心を持っていなかった新しい問題について考えるようになった参加者や、今まで自分が持っていた考え方と他の人との考え方が全く違ってモヤモヤしている参加者などの様子も垣間見ることが出来ました。

グループによっては、一日の終りに少し集まる時間を設け、その日感じたことや消化不良な事などを話し合っている所もあり、合宿形式ならではの良さだなあと感じました。

残念ながら最終日の各個人のアクションプラン発表をわたしは見ることができませんでしたが、ひとりひとりが視野を広げ、ひとりよがり(私たちよがり)でないアクションプランを計画してくれたのではないかと思います。


これから4回に分けて、プロジェクトの様子をレポートしていきます。

また、YMCA Global Citizenship Projectのfacebookページにプログラム中の様子や写真など掲載されているので、ぜひご覧ください。
(中川)

※DEARは本プロジェクトの企画・準備、講師として協力しています。