2016年10月25日火曜日

フリースペースたまりば「えん」でワークショップ 2016年度第1回「オリンピック~光と影」

川崎市のフリースペースたまりば「えん」で、今年度1回目のワークショップを行いました。

大雨の降る中、たまりばに近づいていくと聞こえてくるのは、屋上を走り回っている子どもたちの元気な声。じめじめした天気が続くと気が落ち込むものですが、彼らにはあまり関係なかったようです。見習わねば!
 
ワークショップのテーマは「オリンピック~光と影」。記憶に新しいリオデジャネイロオリンピック・パラリンピックですが、華やかなスポーツの祭典という見た目とは裏腹に、貧困・差別・格差といった様々なグローバル・イシューが垣間見えるのも、このイベントの特徴です。

そこで、実際にオリンピック・パラリンピックで話題となった様々な場面の写真や動画を通して、一緒にこの巨大なイベントについて考えてみよう、というのがワークショップの目的です。

1.えんオリンピック・紙相撲大会

最初の導入は、紙相撲大会!
中にはなんと紙相撲初体験(!)という子もおり、スタッフお手製の土俵で、白熱の取組が行われました。「相撲ってオリンピックの種目じゃなくね…」というつぶやきが聞こえた気もしましたが、幅広い年齢の子どもたちが参加してくれました。


2.オリンピッククイズ

オリンピックのシンボルと言えば「五輪」の輪っかですが、順番はなかなか覚えていないですよね。そこで、輪っかを正しく並べ変えてみるパズルをしてみました。「上が2個だっけ?3個?」「赤が右下でしょ!」など、飛び交う意見。

実はこの五輪はオセアニア、アジア、アフリカ、ヨーロッパ、アメリカの5大陸を表しているそうです(どの色がどの大陸かは決まっていないらしい)。


3.ブラジルクイズ

リオ・オリンピックの舞台となったブラジル。
日本の面積の何倍?
ブラジルの言語ポルトガル語が語源のものは?
天ぷら・とんかつ、どっち?
おんぶ・だっこ、どっち?など。

クイズとなると燃える子どもたち。一生懸命考えて参加してくれました。そして、ブラジルのおいしいピーナツのお菓子をおやつにいただきました。

4.写真クイズ

今回のオリンピック・パラリンピックから5つの場面を写真で紹介し、「何をしているのか」「どこの国?」「自分ならどうする?」と問いかけます。

選んだ写真は
①エチオピアのマラソン選手が手を交差してゴール
②韓国と北朝鮮の少女のセルフィー
③難民選手団
④猫ひろし
⑤パラリンピックのメダル、の5つ。

ニュースにとても詳しい子もいて、写真のテーマについて詳しく話してくれたり、「国籍」とはなにか、といった難しいトピックも他の子に噛み砕いて教えてくれていました。

「えん」には、小学校~高校生くらいまで幅広い年齢層の子が通っていますが、こんなときにはその年齢差がかえって助かるなあと感じます。カンボジア代表として出場した猫ひろしは、さすがの?知名度の高さでした。


5.パラリンピックPV

最後に、パラリンピックのプロモーションビデオをみんなで鑑賞しました。
オリンピックの後で、なんだか取り上げられることの少ないパラリンピックですが、このPVを見ると間違いなくイメージが180度変わります。「すげえ…」「かっけえ…」という声が聞こえてくるのもつかの間、みんな釘づけになっていました。



「花より団子」でしょうか。ワークショップの隣でおはぎ作りをしていたため、おいしそうな香りに引き寄せられていく子どもたちでしたが、最後にはみんなビデオにくぎ付けでした。

自由参加ということもあり、本棚の向こうからクイズの答えが聞こえてきたり、急にピアノが鳴り始めたりと、想像のつかないことの連続でしたが、このいい具合の「ごちゃごちゃ感」が子どもたちの安心感と興味を引き出してくれるのかな、と感じたワークショップでした。
(高階)

2016年10月20日木曜日

ソーシャル・アクション・クラス2016 第3回レポート

こんにちは。ソーシャル・アクション・クラスのコーディネーターの阿部です。
10月13日(木)に「ソーシャル・アクションクラス~自分をソーシャルにする!開発教育ワークショップ~」の第3回目を行いました。

▼アイスブレーキング

まず、ななさんとななみさんによるアイスブレーキング「パスゲーム」。2チームに分かれて小さなボードをパスしていきます。1周終わったところで、「体の同じ部位を使わないで5周してください。早く終わった方が勝ちです!」とアナウンス。手渡しができなくなったので、肘を使ったり、股の間に挟んだり、工夫して無事5周終了。参加者はみなエキサイトしてチームの一体感が高まり、まさにアイスをブレイクしていました。

とっても楽しいゲームでした!
▼宿題の共有

続いて、前回の宿題「身近な人にどんなアクションに取り組んでいるか、アクションのきっかけは何かをインタビューする」を4人のグループで共有しました。

私のグループでは、アクティブな職場の先輩にインタビューした方の話が印象的でした。その先輩は、八ヶ岳での自然保護教室や、原発に関する自主映画上映会などを開催しているそうです。アクションのきっかけは「自分の関心のあることをやらないと後悔するし、つらい思いが残る。やってみると楽しいからやっている」とのこと。

話を聞いた方も「自分はめんどくさがり屋でなかなか行動できない。自分のアクションの動機をきちんと説明できる先輩はすごい。私も関心があることを具体的に行動していきたい」と強いインパクトを受けたようでした。


▼レクチャー「アクションするのはどんなとき?」

そして、コーディネーターの鈴木洋一さん(Wake Up Japan)によるレクチャー「人がソーシャルアクションするのはどんなとき?自分たちは?」を聞き、他者や自分の行動や動機を分析することでソーシャルアクションをどうやって起こせるのか、広げられるのかを考えました。

鈴木さんから質問が続きます。
「あなたはあなたの力で社会を変えることができると思いますか?」
「あなたは社会の中で、ご自身が社会の一員だと思いますか?」
参加者からパラパラと手が上がります。

「社会を変えるために必要なものは何だと思いますか?」に対しては、「根気」「お金」「仲間」「共感」「愛」など様々なキーワードが出てきました。

「あなたはあなたの力で社会を変えることができると思いますか?」
次に、社会問題って何かを考えました。鈴木さんは語ります。世界の貧困も国内の雇用問題もすべて社会問題です。社会は人の集まりなので、社会変革とは「社会を構成する人々の認識、価値観、行動を変えること」なのです。マンデラもキング牧師もガンジーも、デモや署名などを通じて人々の認識、価値観を変え、社会を変えていきました。

各国の若者(13~29歳)の意識調査をみると「私の参加により社会現象が少し変えられるかもしれない」と考える日本の若者の割合は、7か国中最も低くなっています。もっと若者の行動を促す具体的な政策が求められています。
鈴木さんによるレクチャー
続いて、社会の変え方に話は移ります。活動を広げるために、より多くの人々が参加できるよう問題を認識し、共感できる環境が必要です。その前提には、自分たちが行動することで社会が変わるという成功体験が不可欠なのです。成功体験を得るにはストーリーテリング(語り)やコミュニティとのかかわりが重要です。そして自分がなぜ行動するのかを振り返ってみてください。人間は感情的な生き物なので、呼びかけている人の思いで動きます。他人事をどう自分事に変えていくかを考えてみてください。

最後に、アメリカの社会活動家リサ・シャノンの言葉が印象的でした。「他の人の考え方や行動、社会の通念はすぐに変えることができない。でも、自分自身の認識、価値観、そして、行動はコントロールできる」

アクションの背景をわかりやすく伝えていただき、これから具体的なアクションの計画を立てる際に多くのヒントが得られたのではないでしょうか。

▼私のソーシャルアクション物語

今度は、鈴木さんのレクチャーを受けて「私のソーシャルアクション物語メモ」と題して、取り組んでいる(あるいは、取り組んだことのある)ソーシャルアクションのきっかけと原体験を各自で振り返り、グループで共有しました。


私のグループでは、イギリスに留学したことがきっかけでイギリス人と日本人との共通性に気づくとともに、外国人との境界線に気づき、帰国後、日本語ボランティアに取り組み、さらには障がい者とのバリアを無くす活動にも興味を持っている方のお話しが興味深かったです。私も自分のアクションのルーツを初心に帰って改めて振り返ることができました。

右奥の青いシャツが筆者の阿部さんです
最後に次回までの宿題としてインタビュー「何か継続してやっていること、その理由」が出ました。またアンケートで今日の振り返りと次回から取り組んでみたいアクションのテーマを書いて、終了しました。次回から皆さんがどんなテーマのアクションに取り組むか楽しみです。
(報告:阿部秀樹)

2016年10月13日木曜日

ソーシャル・アクション・クラス2016 第2回レポート

こんにちは。コーディネーターの武村です。
9月30日(金)に、「ソーシャル・アクションクラス~自分をソーシャルにする!開発教育ワークショップ~」の第2回目を行いました(第1回目の様子はこちら)。

第1回目で決めた担当者のミホさんとリンさんによるアイスブレーキングから始めました。


名前と趣味を覚える自己紹介アイスブレイクだったので、おかげでみんなの名前や意外な趣味なども覚えられて、一気に距離が縮まった気がしました!

アイスがブレイクしたら、第一回目の宿題だった「気になるニュースの記事」の共有。共有してみると、全く異なるトピックのニュースなのに構造が同じものがあったり、同じ話題のニュースだけど気になったポイントが微妙に違っていたりして、新ためて周囲の人とシェアをするおもしろさに気づきました。

普段気になるニュースを友達や家族と共有したりはしませんが、こんな機会を増やしていけるといいなと思いました。

第2回目はソーシャル・アクションを4象限に分けるワークショップと、自分と社会とのつながりを考える社会相関図づくりを行いました。

私は初めてのファシリテーターということでだいぶ緊張しました。
ソーシャル・アクションの4象限整理は、私も3度目くらいなのですが、毎回少しずつ変わっていて、半年単位でも周囲の環境の変化でアクションのハードルなどは変わってくるものなのだと気づきました。


真剣に聞いてくれる人がいると自然と熱も入ります。

そして、社会相関図では、そういえばこんなつながりもあった!など、自分の中での再発見もいっぱいでした!


自分で書いた後は、社会相関図を班のグループでシェアをしました。
人によって書くコミュニティ・居場所や好きなものが違っていたりして、普段どんな生活をしているのかがすこし垣間見える社会相関図でした!
聞きたいことがたくさんありすぎて時間が足りないほどでした。


この人はなんでこう思ったんだろう?
率直に思った疑問を安心して投げかけることができ、そして安心して答えられるような、そんな対話の空間を作っていけるようにこれからも考えていきたいと思います。

最後は、次回の宿題発表!
次回の宿題は、ソーシャル・アクションについてのインタビューです!

私もこの機会を使っていろんな人にインタビューしてみたいと思います!

次回からさらに自分の思い描くソーシャル・アクションを考えるためのクラスになっていくと思うので、これからがますます楽しみです!
(報告:武村)

「グローバルフェスタ2016」でミニ・ワークショップをやりました!

お久しぶりです。ボランティアの渡邉です。
10月1・2日(土・日)にかけてお台場で行われたグローバルフェスタジャパン2016にてミニ・ワークショップをさせていただいたので、報告します。

今回は、「写真で学ぼう!地球の食卓」を約1時間に凝縮して行いました。
ファシリテーターとして中心になってくれた高階くん、そして中川さんを筆頭にボランティアメンバーでやらせていただきました。

ワークショップをしたのは初日10月1日(土)のお昼頃。
あいにくの曇天でしたが、みんなで集客がんばりました!

ブースの前で案内をする筆者(渡邉さん)
おおまかな流れは、自己紹介→国当てクイズ→ランキングで進めました。
参加者の世代は、高校生や大人の方まで様々でしたが、みなさん話し合いや意見発表で沢山発言してくださいました。


今回は、3人1組のグループを4つ作りました。国当てクイズでは、各グループにそれぞれ違う「ある国の1家族の1週間分の食材の写真」が渡され、気づいたことの中から、どこの国かを考えました。

ボランティアの青沼さんもグループの一員となって取り組んでくれました
答え合わせの様子
ランキングでは、クイズの答えだった4か国(アメリカ、エジプト、チャド、ドイツ)と日本を比較し、「自分が1週間住むならどこか?」、「ゴミの排出量が多そうなのはどこか?」、「健康そうなのはどこか?」、「食費がかかりそうなのはどこか?」というテーマで各グループに1テーマずつ考えていただきました。

各グループの順位付けの基準が異なり、「ファストフードに偏っているアメリカよりチャドの方が健康」という意見もあれば「貧しい暮らしになってしまうので、チャドに住むのは大変そう」など様々な理由からランキングが作成されていたのが印象的でした。

後半も、様々な意見が飛び交っていたのですが、時間が迫ってきてしまいました。もっと時間があったら、さらに熱い議論を交わせたのではないかと思います。


参加者からは、今回のワークショップを受けて、
「国が違うので文化も違うけど、多文化についてワークショップを通して知ることができてよかった」
「食事内容だけの比較ではなく、ごみや働き方とつながるのが分かった」
などのコメントをいただき、各々ワークショップを通じて学んでいただけたのかなと思います。

また、参加者の皆さんから、「楽しかった」という嬉しいコメントも沢山いただきました。

今回のワークショップを通して私自身も、ワークショップの進行の仕方や、国当てをする際の目のつけどころなど、学ぶポイントが沢山あり、良い経験になりました。(チャドを見事に国当てできていたチームには驚きました!)

ボランティアの高階くん、中川さん、青沼さん、一緒にやらせていただきありがとうございました。
そして当日参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました!
また機会があればぜひ一緒にワークショップをやりましょう!
(渡邉)

2016年10月6日木曜日

「YMCA地球市民育成プロジェクト2016」レポートその(4)最終回 東ティモールのワークショップ

※レポートその1その2その3はこちら

今回でわたしからの報告は一応最後ということにしたいと思っています!(笑)
ここでは研修の4日目にあたる9月1日に中村絵乃さん(DEAR事務局長)と、リソースパーソンの韓朱仙さんによって行われた東ティモールについてのワークショップについて振り返ります。
リソースパーソンの韓朱仙(ハン・チュソン)さん
当初の予定では、「パーム油のはなし」というワークショップで社会的課題の構造を学び考えていく予定でしたが、急きょ変更して東ティモールについてのワークショップを行うことになりました。

きっかけは、2日目に行われたワーク「世界がもし100人の村だったら」の最後に行われた朗読パートで参加者から出た感想でした。

東ティモールからの男性参加者のひとりが、「…もしもあなたが空爆や襲撃や地雷による殺戮や武装集団のレイプや拉致におびえていなけれなければそうではない20人より恵まれています」という部分を読んだときに「自分はその20人のうちのひとりのように感じた」と話してくれました。

東ティモールのこれまでの混乱の歴史に、日本という国も深く関係しているにも関わらず私たちはほとんどそのことを知りませんでした。そこで東ティモールからの参加者に協力してもらい、話を聞きつつ、東ティモールに焦点を当てたワークが行われることになりました。
外務省HPより http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/easttimor/
最初は、東ティモールについての地理的な知識や、簡単なクイズで国の紹介から始まりました。選択クイズ形式で問題が出され、東ティモールからの参加者はわざと違う答えを選んだりしてほかの参加者を翻弄していました。(笑)

東ティモールのこれまでの変遷へと話が移ると、参加者は真剣に話に耳を傾けます。ポルトガルに植民地として支配されるより以前は、物々交換が主流の穏やかで平和な国だったといいます。19世紀にはコーヒーの苗がポルトガルにより持ち込まれ、本格的なコーヒー農業が広く展開されるようになりました。

また、東ティモールの海底油田はオーストラリアによって半分以上が占領されてしまい、資源も生活も大きく他国に干渉され奪われてきました。通貨も最近東の通貨ができるまでは米ドルを使用しており、教育で使用される言語も支配国の影響で頻繁に変わり、今では4言語話すことができる人が多いそうです。食料も75%をインドネシアなど海外からの輸入に依存しています。

参加者の多くが衝撃を受けていたのが、第二次世界大戦中に、対オーストラリアの最前線として東ティモールを占領していた日本軍についてです。日本軍は日本刀の切れ味を確かめるためだけに、現地で人を殺していたそうです。参加者のひとりのお父さんは日本軍が占領していた地域の出身で、当時のことを覚えていましたが、今回、彼が日本へ行くことを応援してくれました。

また、現在の問題点として挙げてくれたのは、若者の仕事不足でした。今では多くの若者が仕事を求めてヨーロッパへ渡るそうです。

参加者は難しい問題ながらも、東ティモールの問題を解決するためには何が大切か、ユースとして東ティモールのために何ができるのか、などをグループで時間をかけて話し合いました。

参加者の中から出た意見の一例としては、教育をしっかりと充実させることで東ティモール自身の発展・成長する力を養うことや、若者の職業選択の幅を広げることなどが挙がりました。

印象的だったのは、東ティモールからの参加者が、これからの国に求めることとして、「もっと発展したい」という意見を出していたことでした。多くの参加者が東ティモールでの問題解決のために提案していたこととは違い、先進国のような更なる発展を当事者は求めていたことに、少なからず衝撃を受けました。

しかしながら、日本やほかの先進国の発展は、多くの犠牲のもとに成り立ってきました。そのことを常に心に置きこれからの社会の在り方を考えていかなければ、また同じことの繰り返しになってしまうのではないか、そんなふうに考えさせられるワークでした。

参加者からは「難しかった」という声も挙がりましたが、特に日本人としては知っておかなければいけない歴史や情報もたくさん得ることができた貴重な時間になったのではないでしょうか。英語で行うワークも、深い内容になってきた4日目の午後でした。


長きに渡りました、地球市民プロジェクトの報告でしたが最後までお付き合いいただきましてありがとうございました!

ボランティアとしてではありましたがYMCAの活動に初参加させていただき、本当に充実した貴重な経験をさせていただきました。たくさんの新しい出会いに感謝しながら、これからの学びに生かしていけたらと思います。御殿場のYMCA東山荘さん、1週間お世話になりました。
(中川)

2016年10月3日月曜日

「YMCA地球市民育成プロジェクト2016」レポートその(3) 川崎「ふれあい館」への訪問

※レポートその1その2はこちら

思ったよりもかなり長文になっていますね。
お時間がある方は気長にお付き合いください。(笑)

前回に引き続き、フィールドワークについての振り返りです。神山復生院を訪問した後は川崎のふれあい館を訪問しました。初めに教会の中で金迅野さんにお話を伺いました。


在日外国人がたくさん生活をしているという桜本では、多様な言語や文化が息づいています。金さんは、ふれあい館の成り立ちから変遷、今に至るまでの地域に根付いた活動などを、壮絶な差別の現実も交えながらお話ししてくださいました。

もともとは、息子の保育園への入園を拒否された李仁夏牧師が、「それなら自分で保育園を作ってしまおう!」としたのが始まりだといいます。しかし、この保育園の中では通名を名乗ることができても小学校へ上がるといじめられてしまう、ということが繰り返されました。そこで始められた学童が、今のふれあい館の前身でした。


当時の子どもたちにとって、在日外国人としてのありのままの自分を受け入れてもらうのは本当に途方もないことだったのかもしれません。

以前、日本名を名乗って日本の高校まで進学した優秀な生徒がいたといいます。ある時友達同士で、順番に各家に泊まりあいっこをしていましたが、その子の番になり家に友人たちが泊まりにくることになったクリスマス前日に、その高校生は自ら命を絶ちました。

もし家に友達が来てしまったら、日本語が不自由な祖母がいること、韓国の置物が飾ってあることなどから、一目で自分が「在日韓国人」であることが知られてしまう。「日本人」として過ごしていくことができなくなってしまう、それがひとりの高校生を自殺にまで追いつめました。

こんな痛ましい事件を二度と起こさないように、とにかく、子どもも大人もお互いを理解する場をつくりたいと思いました、そう金さんはお話ししてくださいました。

金さんが観せてくださったヘイトスピーチの映像では、かなり攻撃的で暴力的な差別の様子を目の当たりにしました。

しかし、「当時実際にヘイトスピーチが桜本へ近づいてこようとしたときに、多くの日本人が守ってくれたこともまた、事実なんです」と教えてくださいました。“ひどい差別をする人=日本人”のように大きなカテゴリーでひとくくりに決めつけてしまうことは、彼らのヘイトスピーチと同じ行為であるということや、人は自分の関心の外の出来事への痛みには鈍くなってしまいがちであることなどを指摘していました。

また、質問などにも快く答えていただき、敵意を敵意で返して負の連鎖に陥ることは避けなければならないことや、ふれあい館の今後の課題として在日外国人の高校への進学支援や就職のサポートなども重要な問題であると話してくださいました。


お話を伺った後は、近くの作業場の見学や、保育園の設備の見学などを3つのチームに分かれて順番に行いました。

ふれあい館では障がい者の方々も活躍し、手作りのパンやお弁当などを作って販売しています。帰り道にバスの中でみんなでそのお弁当をいただきました!(夏みかんロールというパンもいただいて食べましたが、とてもおいしかったです!)

また、保育園にはたくさんの国籍を持った子どもたちが集まってきますが、園内の掲示などはすべての子どもたちの母語表示のものをそろえるんだそうです。子どもの入園時に、「ここが居場所だよ。安心して過ごしていいところだよ」と伝える意味も込めて、その子の母国語であいさつなどをみんなでやるのだそうです。

どんな時も「共に生きる」をスローガンに、地域づくりを行ってきたというふれあい館。みんなが理解しあい支えあいながら暮らしていけるような地域づくりが社会全体にもっと広まっていけばいいなと思いました。

お話し中は英語や韓国語、中国語での通訳サポートも大活躍し、海外参加者もかなり関心を持って積極的に質問をしていました。参加者にとってなかなかできない貴重な経験がたくさんできた盛りだくさんな一日となりました。
(中川)