2017年6月23日金曜日

フリースペースえん第4回「バリマタ王国にライオンがやってきた!~実は大切な憲法のはなし」

みなさんこんにちは。ボランティアの高階です。

かなり遡った話になってしまいますが、2017年1月20日に川崎市のフリースペースえんで、ワークショップ「バリマタ王国にライオンがやってきた!~実は大切な憲法のはなし」を実施しました。バリマタ王国とは、「たまりば」の文字を逆さにした架空の国。

今回のテーマは「憲法」ですが、幅広い世代の子どもたちがとっつきやすい「檻の中のライオン―憲法がわかる46のおはなし」という本を題材に、大きな力をもつライオンの王様(権力)とどのように関わっていくのか、ライオンの力を縛るロープ(憲法)はどんな役割を持つのかをみんなで考えました。

ライオン役は、たまりば理事長の西野さん。熱演です。
ライオンは、最初は皆の頼りになる存在ですが、その力が徐々に暴走し始めます。

  • ニュースに載るわたしの写真が少ないぞ、ふやせ!不都合なニュースは削除だ!
  • 私の歌が気にくわない?そんな無礼者は逮捕だ!
  • わたしはマヨネーズが大好き!だからマヨネーズが好きな者は税金を安く、嫌いな者は高くする!


こんなライオンの横暴に対して、憲法カード&ロープでストップをかけます。
「みんながもっている権利はなに?それはどんな憲法の条文で守られている?」

選んだカードが正しければ、ライオンはロープでグルグル巻きに。大きな力は制限されていきます。一つの場面で選ばれるカードが一つとは限りません。子どもたちは相談し、ライオンに突き出すカードを選びます。

「このカード(19条:心の中は自由)いけるんじゃない?」
「これ(21条:表現の自由)も一緒に出そうよ!」

次々と憲法カードを突きつけられ、ぐるぐる巻きになったライオン。憲法が権力を制限する役割(法の支配)を持つと同時に、私たちのもつ様々な権利を守っているのだということを再認識しました。


このあと、ゲストの久保井奈美さんからふりかえりを兼ねて、憲法についての紙芝居を披露してもらい、ミニ憲法(名刺サイズ)ももらいました。日常生活で「あれ、この場面おかしいな」と思ったらいつでも出せますね。



ワーク終了後、ある子が「憲法って全部で103条あるんだよねー」と教えてくれました。自分たちで調べて表をつくった子もいるらしく、自分も帰り道の電車で改めてミニ憲法をめくってみました。

私たちの生活を守る憲法について、身近に感じてもらえたと思います。次回も引き続き学びたいと思います。
(高階悠輔)

※この後の第5回目では、身近な対立から、憲法と権利を考えてみました。レポートはこちらからお読みいただけます。

2017年6月5日月曜日

【レポート】レジリエンスを育む小学校~ブラジルのオルタナティブスクールでの学び

5月27日(土)、この日はDEARの会員総会の前に、元DEAR職員であり、1月から4月までブラジルのシュタイナー学校でボランティアをしていた星久美子さんの現地報告&ワークショップがありました。5月とは思えないほど暑い中、30名以上もの方にご参加頂きました。
ヤポ!ヤポ!イェ~イェ~イェ~♪
まずは星さんの自己紹介、そしてアイスブレイクとして、ブラジルの子ども達に人気のゲーム「YAPO!」を体験。歌いながら身体を動かすゲームで、動きを間違えてしまったり、速い動きについていけなくなったりと、アイスブレイクどころかセルフサービスで置いていた麦茶も底をつき、冷房も「強」にするほどアツいゲームでした。

その後はブラジルにまつわる、リオのカーニバルやファヴェーラ(スラム)、日本からの移民についてのクイズ。ブラジル人の陽気さ、貧富の差、他民族さを再確認しました。


そこから「モンチアズール・コミュニティ協会」の話に移ります。この協会は、ブラジルの中流階級の子ども達の通うシュタイナー学校の教師であったドイツ人のウテ・クレーマーさんが、1975年からモンチアズールというファヴェーラの住民達と、診療所や保育所、学童、そして小学校(2010年~)、助産所(2015年~)を作りどんどん活動を大きくしている団体です。御年79歳のウテさんの若々しさと情熱は留まるところを知らず、日々活動は進化しています。


星さんは、そのモンチアズール・コミュニティ協会の建てた、シュタイナー教育の精神に則った私立小学校にボランティアとして入りました。



海外の学校ということだけでも日本とは違う点が多いだろうと思いますが、星さんの話と写真は、日本の“学校”のイメージをことごとく塗り替えていくものでした。

  • 1学年1クラス
  • 各クラス生徒20人ほどで先生が2人
  • 教室は1つずつ離れて建つバンガローのような家で、教室内にキッチンがあり給食は教室で作る。
  • 登校したら朝のフルーツ、授業後の朝ご飯、1時間の休み時間、みんなで作る給食(野菜などは協会が有機栽培で育てたもの)、下校時には帰りのフルーツを食べる。
  • 授業に集中できず、立ち上がって走り回ってしまう子はキッチンで一緒に給食を作り、料理の中に勉強を織り交ぜていく。
  • 授業は一つの科目(単元)を2週間ほど毎日同じ教科をに続けて行なう。等々‥
面白い学校のシステムに、参加者からは「えー!?」など感嘆・驚愕の混ざった声が漏れます。

職員会議の様子。全員輪になってひとりの生徒のことを考える。
更に面白いのは、職員会議の様子。気になる生徒がいると、担任の先生だけでなく、事務担当者、菜園担当者などを含む全職員でその生徒のことだけを考える会議をします。会議の中ではその生徒のことを考えながら絵を描き、その生徒になりきって考え、親も交えて話し、たとえ発達障害があると気づいていてもその名前は出さず、ひたすらその生徒のことを考え、向き合う・・・それがモンチアズール流の職員会議ということで、愛にあふれた学校の話に心があたたかくなりました。

ここで、実際に職員会議で行なったワークショップを体験してみることに。一人一枚、「自分の子ども時代」をお題に紙に絵を描きます


参加者は久しぶり(何十年ぶり?)に触るクレヨンにちょっと興奮している様子。大人になるとクレヨンを使うことはおろか、絵を描くことも少なくなりますよね。絵を描き始めるとつられて色々な懐かしい記憶が蘇ってくるようで、風景画、自分の姿、物(太陽、蝶々、ネギボウズなど)など様々な絵が描き上がりました。


他の人と共有すると、習い事や外遊びなど色々なエピソードが飛び出し、人それぞれの子ども時代に場が盛り上がります。そんな中、星さんが一つ質問を投げかけます。「なぜ、これを職員会議でするのでしょうか?」それに対する参加者の一人の答えが印象的でした。

「先生は普段生徒や他の先生の前で自分のことをオープンにすることがない。逆に自分のことを隠してしまう。自分のことをオープンにすることは自分を見つめ直すきっかけになる。そして、自分の子ども時代のことを考えることで、より生徒の言動や状況を理解できるようになる」

これは、日本でもとても有効なワークショップだと深く実感しました。また、星さんによると、モンチアズールの職員会議は全員が輪になって行なうそうで、それにより雰囲気も良くなるとのこと。日本でもそんな職員会議が出来たら面白そうです。

星さん、ありがとう!
来年3月にはウテ・クレーマーさんが来日し、講演会も行なうようです。ウテさんの情熱や手法に興味のある方は、ぜひご参加ください!
(報告:木村明日美)

2017年5月29日月曜日

開発教育入門講座・特別編「コーヒーカップの向こう側」レポート

こんにちは。インターンの山本です。
5月23日(火)に開催された「開発教育入門講座」に参加しました。教材「コーヒーカップの向こう側」の教材を使って、スタッフの小口とタスクチームの都築がファシリテーターを務めました。今回は特別編ということもあって満員御礼でした!ありがとうございました。

消費者教育教材資料表彰2017において優秀賞を受賞しました!
まず、1グループ6人ぐらいの島になって「4つの窓」というアイスブレイクをしました。「コーヒーを飲む頻度」というお題では、コーヒーを全く飲まない人もいれば、毎日3杯以上飲みますという人もいました。

その後、コーヒーに関するクイズをグループ内で話し合い、答え合わせをしました。何気に飲んでいるコーヒーですが、深く考えたことがなく、コーヒーにも消費する側と生産する側で南北問題があることに初めて知りました。

次に、コーヒーの生産工程の写真を並べ変えました。工程だけでなく、生産地や生産者・施設の様子も読み取ることができました。選別過程で若い女性がたくさん働いていることに皆さん気づいていたようです。

この写真は何をしている所かな?と一枚の写真から色々なことを想像してみます
次に、グループがコーヒー農家の家族となってコーヒーの契約栽培をする疑似体験しました。貧しい村にコーヒーのグローバル企業の営業マンが訪れ、「自分たちと一緒に頑張りましょう!」と企業との契約を勧めてきます。契約に慎重なグループもあれば、リスクを顧みずに挑戦するするグループもあり、家族ごとで方向性が異なっていました。しかし、年を経て赤字になってしまう家族もいました。

会社側からの突然の契約終了に「これからどうやってお金を稼ごう?」「コーヒー農地はどうすればいいの?」「こんなの契約に書いていなかった!」など、どのグループでも混乱発生!契約における弱者と強者の存在を認識していました。

振り返りとして、契約をするうえで改善してほしい点はあるか、なぜ農家側は有利な交渉ができなかったのかどのような契約条件があればよかったかをグループで話し合いました。契約内容の明確化してほしい、学校を作ってほしい、作業に対する賃金を出して欲しい、団体交渉権が欲しいなど、シュミレーションしたからこそ考え出せる要望がたくさんあがりました。

最後に、スタッフの八木がまとめとしてフェアトレードと開発教育について説明をしました。フェアトレード認定にはいくつかの項目があることやフェアトレードにおける植民地主義について話しました。

また、このことから消費者として何をするべきかを考える時間を持ちました。しかし、「知る」から「する」までの行動がなかなか難しいと言っていた参加者もいました。大きな事ではなくても、個人でできる小さな一歩が重要だと思います。私はマイボトルを持ち歩き、ペットボトル飲料をなるべく買わないように心がけています。

今月はフェアトレード月間。自分の身の回りのモノの向こうにある世界について、色々と考える時間を持ちたいですね。
学生、会社員、教員、NPO・NGO職員といった多様な方々が「開発教育入門講座」に参加しています。今回初めてDEARのイベントに参加された方もたくさんいました。次回の6月の入門講座でもお待ちしています。
(報告:山本絵理)

2017年5月23日火曜日

『写真で学ぼう!地球の食卓』が「内閣府特命担当大臣賞」受賞!

こんにちは。事務局の八木です。
このたび、教材『写真で学ぼう!地球の食卓 学習プラン10』が、(公財)消費者教育支援センター主催の消費者教育教材資料表彰2017の「内閣府特命担当大臣賞」を受賞いたしました。「内閣府特命担当大臣賞」は今年からはじまった賞なので、栄えある「第1回」受賞者となります。

5月22日(月)の「消費者月間シンポジウム」(主催:消費者庁)で発表があるということで、八木と山本(ボランティア)の2名で出席してきました。

あいさつされる消費者庁の岡村和美長官。「おめでとうございます!」とお声かけいただきました
会場では、とってもたくさんの方に「おめでとうございます」「すばらしい教材ですね」とたくさんお褒めいただきました。以前からDEARの活動を見守ってくださっている方々もおり「第1回目の受賞者がDEARさんで、ほんとうに良かった!」「開発教育と消費者市民教育は絶対につながる日が来ると思っていた」と、嬉しい言葉をいただきました。

国会議員の方々もたくさん出席されていました
懇親会では、今回の賞をくださった内閣府特命担当大臣の松本純議員ともお話しさせていただきました。驚いたことに、大臣はちゃんと教材の中身をご存知で、秘書の方や周りの方に、「これはさ、こうやって使う教材なんだぞ。比較するからこそおもしろいんだ」と説明までしてくださいました。そして、「世界もいいけど、47都道府県の食の多様さや健康度の違いがわかる教材もつくってらどうか」とご提案もいただきました。

松本純大臣より内容に対するするどい突っ込みも…
しっかり、励ましていただきました
東京のウキタ・ファミリーの写真といっしょに
初代の内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)を務められた福島みずほ議員もいらしていたので、先週の「国会議員のための世界一大きな授業」への参加のお礼をお伝えすることもできました。「あの『授業』もとてもいいし、消費者教育のいい教材も作成してくだってありがとう」とあたたかな言葉をかけていただきました。

審査員の方々からは‥「写真そのものが持つ力を活用することで、教育現場で求められている主体的・対話的な深い学びであるアクティブラーニングが可能であり、オリジナリティにあふれた魅力的な教材である。更に、教員が様々な発想でいろいろな教科、学年に対応して活用できるツールとなっていること」が、高く評価されました。

写真で学ぼう!地球の食卓 学習プラン10』は、200名を越える寄付者の方にご支援いただき、2010年に発行できた教材です。制作には、学校の先生やNGO、専門家の方、DEARのボランティアの方々など、多くの方が関わりました。

写真を撮られたピーター・メンツェルさんやフェイス・ダルージオさん、使ったくださった先生方等、多くの方にご尽力いただいた教材がこのように評価され、本当にうれしいことです。

また、影ながら見守ってきてくださった消費者教育支援センターのスタッフの皆さま、ありがとうございます。


正式な授賞式は6月26日(月)に開催される「消費者教育シンポジウム」となりますので、また改めてご報告します。
(報告:八木)

2017年5月19日金曜日

高校生8人が「国会議員のための世界一大きな授業」をやりました!

こんにちは。そして、初めまして!先週からインターンを始めた山本絵理です。8月の全研までの約2ヶ月半DEARでインターンをさせていただきます。

5月17日(水)に、衆議院第2議員会館で行なわれた「国会議員のための世界一大きな授業」に参加してきました。参加者は国会議員が18人、秘書7人、オブザーバー参加38人、スタッフ19人、高校生8人で、イベント参加者の合計は90人でした!去年よりも参加議員の数が増えていました。

オブザーバーも含め90名が参加しました
「先生」はフリー・ザ・チルドレン・ジャパンの8人の高校生、「生徒」は現役の国会議員の方々でした。授業時間が35分という短い時間の中で、先生である高校生が自分たちの思いを伝えようとする努力が、授業を受けていた国会議員の方々のみならず、関係者も観客にも届いたように感じました。あっという間で楽しい授業でした!

「先生」役の高校生たちはパワーポイントを使いながら、2~3人1組で1つの項目を担当し、約6つの項目から授業が成り立っていました。高校生の連携プレー・潜在能力や、高校生ならではの主張・若さに、会場にいた全員が「とてもよかった!」「考えさせられる授業でした」「次回の授業まで宿題頑張ります!」などのたくさんの言葉があがっていました。

まず、「全ての子どもに質の高い教育を」というキーワードで始まりました。そして、導入として、持続可能な開発目標(SDGs)とその中の4つ目の目標であるSDG4についての授業が行われました。SDGsに至るまでの経緯をMDGsの成果と残された課題と比較しながら説明していました。SDG4は「全ての人に衡平な質の高い教育と生涯学習の機会を提供する」という目標を掲げています。


次に、教育を受ける権利について、日本と途上国の学習環境を比較しました。先生は生徒に「なぜ途上国の子どもたちは教育を受けられないのでしょうか」と投げかけました。それに対し、真剣に考えて発言している国会議員の方々を見て、なかなか見ることの出来ない風景だと感じました。笑いもおきたりしていて、活発な授業が行なわれていました。

次に、SDG4をもう少し深く掘り下げて、SDGs4.5にある女性と障害者に焦点を当て「誰一人取り残さない教育」を考えていました。生徒に「女性が教育を受けられるとどんなメリットは何があるでしょうか」と考えさせ、生徒の発言の後にビデオを見せ、その感想を聞いていました。障害者のテーマでは、日本とフィリピンの障害者に対する教育や職業訓練の違いについて説明していました。

目が見えない体験をして、お札の金額を当ててもらいます。
特に面白いと思ったのは、途上国の学校を模した模擬授業体験です。生徒になっている国会議員の1人が先生役となり、他の国会議員に簡単な算数を教えてました。しかし、その学習環境は日本の教室とは異なるものでした。先生は間違ったことを生徒に教えていて、さらに、生徒たちは小さい紙・インクしかないペン・狭いイスを使って授業を受けていました。そこから、「先生」である高校生は途上国の学習環境を改善するためには「教育者の育成」が重要だと訴えていました。

模擬授業。3人がけのイスに4人で座る議員のみなさん。
先生役は御法川議員です。
最後に授業のまとめとして、2つ政策提言をしました。1つめは、「初等教育支援強化」です。小学校中退・貧困の悪循環を止めるためや子どもの健康状態改善のために、初等教育を当たり前のものにしていくことが重要だと述べていました。2つめは、「教師支援の強化」です。途上国にペン・ノート・黒板などの物資を与えるのではなく、教師に生徒に教えるための知識や技術を教えることが必要だと、堂々と主張していました。この授業の軸となっていた「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える」を最後に発表し、最終的に自分たちで生きていける方法を提案していました。


参加された国会議員からの感想で、高校生の考えに+αしたものが出されました。それは、「新しい魚の釣り方を教える」というものでした。これには、会場にいた全員からどよめきが起こりました!

他にも、「ODAの予算をチェックするべきだと思いました」「クイズ・質問・アクティビティをしたり、意見を述べさせたりすることで、工夫して伝えるのが上手でした」「国内のみならず世界に向けた政治をしていかなければならないと感じました」「価値観と文化の多様性を大切にしていきます。」など、次世代に向けた感想があがっていました。


18歳選挙がスタートし、参加した高校生の中に選挙権を持っている人もいました。1人の有権者・国民として目の前の国会議員の方々に対して、「日本だけでなく世界に向けた政策提言を国会の中でしてください!」とお願いしていました。それを聞いた議員たちも「次回までにこの宿題を頑張ります!!!」とみなさん応えていました。めったに国会議員と対話することのない高校生が、ここまで積極的に物怖じせずに自分たちの主張を貫き通している姿を見て、子どもを見守る母のような気持ちになり、8人の高校生をとても頼もしく感じました!
(報告:山本絵理)

▼授業の様子はyoutubeから観ることができます

2017年4月14日金曜日

小学校で100人村ワークショップ[4年生]

こんにちは。ボランティアの木村です。
2月16日に、渋谷区立長谷戸小学校にスタッフの中村、小口と、講師派遣に行きました。これは、東京都教育委員会主催の「オリンピック・パラリンピック教育推進のための『教育支援プログラム』」として、DEARの100人村のワークショップも登録されたため、学校から依頼がありました。

所狭しに立ち並ぶ都心のビルに囲まれた長谷戸小学校。しかし子どもたちは元気いっぱいにのびのびと学んでいる様子でした。私たちスタッフが学校につくとちょうど給食が終わったころで、昼休みに校庭に飛び出していく子どもたちが大勢いました。

今回ワークショップをするのは4年生の22名。女の子の人数は少なくとも、立場は強いような雰囲気があります。

まずは、アイスブレークとして現在の世界や日本の人口を聞くと、詳細な日本の人口を挙げる子どもがいて、スタッフも先生もびっくり。

その後、輪になって地球儀ボールを落とさないように回してタイムを計ります。タイムを縮めるにはどうすればいいか聞くと、「渡す時にハイと言う」「手を傾けて流す様に渡す」「ふざけない」など提案が上がり、試しては改善していき、最後は最初の半分以下の時間でスムーズに回すことができました。元気なことも大事だけど、ふざけずにみんなで協力してやればこんなにすごい事ができるんだね!とみんなで大喜びしました。

地球儀ボールを上手に回してみよう!
こうして盛り上がってきたところで運命の写真とカードを配付します。色々な国に住む人たちの写真を見て、私たちの生活と同じところ・違うところを見つけて発表してもらいました。

その後、役割カードに書かれた挨拶をもとに仲間探しをして、人数の多いグループから挨拶を紹介していきます。一番多く使われている言葉が中国語なことにみんな驚き。また、スペインはヨーロッパにあるのに、中南米の国々がスペイン語を話している理由を聞くと、元気だった教室が静かになりました。そこで、歴史の授業で習うのはもっと後だとは思いますが、少しだけ植民地などの話をしました

次に大陸ごとに紐で区切られたスペースにそれぞれ入ってもらいましたが、アジアのグループは紐から片足が出そうなほどにぎゅうぎゅうです。人口が多いこと・少ないことの良い点と困る点を挙げてもらい、人口の差を実感してもらいました。

そして、紐から生徒たちを解放し、ある紙を見せます。何人かの生徒は「あ!!」と言って役割カードを確認するとその場に座り、他の生徒たちや先生はポカンとしています。

これは、座ってくださいと言う意味の言葉です。今立っている人たちは、字が読めないのです」とスタッフ言うと、みんな納得の様子。「学校に行けばいいのに」「貧しいから行けないんだよ」「働けばいいじゃん」「文字が読めなきゃ働けない場所が多いよ」など、自分たちとはかけ離れた状況に想像力をフル回転させていました。

その後、役割カードに書かれた記号ごとに5グループになってもらい、代表者で運命のじゃんけんをします。この勝敗により、富の順位が決まる大事なじゃんけんです。

富を表す24枚のクッキーを自分たちのグループは何枚もらえるか予想してもらうと、最も裕福なグループは声高々に「17枚!」。すると他のグループは大慌てで、最も貧しいグループは「私達は1枚もないかもしれない」と嘆いていました。

結局、全員の予想を合わせると24枚を超えてしまい、待望の答え合わせで代表にクッキーを分配していくと、一番裕福なグループは18枚と予想より多い結果になりました。一方、一番貧しいグループは4分の1枚のクッキーを前に茫然とした様子。

「自由に分けて食べてください」と伝えると、喜んで食べ始める1つのグループと、それを恨めしそうに見る他の4グループ。そのうち、持っているクッキーをポケットに隠す生徒、奪う生徒、取り返そうとする生徒、割り当てられたクッキーで我慢する生徒、クッキーが小さすぎて分けられず途方に暮れる生徒など、教室は混乱状態に。


最終的に分け合って貧しい人たちのもとにもクッキーがめぐってきました。すると「僕は奪われてしまったから1枚も食べてない」「私もあげちゃったから食べてないよ」と言う一番裕福なグループの生徒が数人。

慌てて皆の持っているクッキーを割って、皆が食べることが出来ました。奪い合いもありましたが、裕福だったのに人に与えすぎて逆に貧しくなってしまったり、自分のクッキーを校長先生に分けてあげたり、ハンディキャップのあるクラスメイトの周りにも常に誰かがいて、全員が手を差し伸べているのが見られる、元気と優しさを兼ね備えたクラスでした


最後に先生が「世界がもし100人の村だったら」の絵本を読み聞かせしてくださいました。それを聞いた後で、生徒たちには今日のワークショップを体験して感じたことを「わたしの気持ち」シートに記入してもらいました。

ある子どもは「裕福な人がうらやましかった。僕は一番貧しいグループでクッキーを4分の1しかもらえなかったけど、貧しくて立場が違うから、裕福なグループにクッキーちょうだいって言えなかった」と言っていて、ロールプレイによって貧しい立場を自分ごとにできたようでした。これこそが参加型の醍醐味だなと嬉しくなりました。


先生からは、「普段あまり授業に参加しない子どもが真剣に参加していた」「世界の状況を体験を通して実感することができて、いろいろ考えることができてよかった」という感想をいただきました。引き続き、世界のことに関心を持ってほしいと思いました。
(報告:木村明日美)

DEARへの講師派遣の依頼方法はこちらをご覧ください。
http://www.dear.or.jp/facilitator/index.html

2017年4月11日火曜日

「世界一大きな授業のすすめ方」実践者のためのワークショップをやりました

今年も4月15日(土)~5月31日(水)に実施する「世界一大きな授業」。キャンペーンの開催に先駆けて、4月8日(土)に横浜YMCAの協力で「世界一大きな授業のすすめ方」実践者のためのワークショップ@横浜を開催しました。ファシリテーターは、DEAR事務局長の中村と職員の小口で実施しました。


当日は、なんと超満員の40名が参加!参加者も高校生、大学生、先生、企業の方、などとっても多様。「今大学で教職課程を取っているんですが、今日、私の高校の時の恩師も来てて、とってもびっくりしました!数年ぶりに再会したんです!」という奇跡の再会(?)を果たす参加者も。大盛り上がり、あっという間の2時間半でした。

「世界一大きな授業2017」の公式教材には、7つのアクティビティが収められていますが、その中から以下の5つのアクティビティを実施。その後、今後自分が実施するにあたっての意見交換をしました。

1.クイズ
2.識字(コップの水を選んで飲むシミュレーション)
3.教育と資金(リボンをつかったシミュレーション)
4.ちがいのちがい SDGs4バージョン(カード)
5.首相・外務大臣に手紙を書こう(意見交換+文章表現)

「文字が読めないってどういうこと?」を疑似体験。みんなが飲んだものは果たして・・・?
教育援助額とゲーム費・軍事費をリボンを使って比べます。軍事費は、発展途上国のすべての子どもが高校まで行くのに必要な年間援助額の何倍?
今年の新アクティビティである「ちがいのちがい SDGs4バージョン」は、カードに書かれている事柄について「あってもいいと思う違い」だと思うか、「あってはいけないと思う違い」だと思うか、理由も出しあいながら分類するアクティビティです。
今年の新アクティビティ「ちがいのちがい SDGs4バージョン」。一つ一つのカードについてじっくり考えます。
一つのカードをとっても、想像する背景やその事象に至った理由は様々。例えば「タカフミさんは地元の中学校に通っているが、同い年のトオルさんは隣町のフリースクールに通っている」というカードがあります。「学校=教育ではない。本人がフリースクールに通いたくて通っているのであればあっていい違いなんじゃない?」という意見もあれば、「本人は学校に行きたかったけれど何かの理由で拒否されたり行けなくなってしまったのであれば、あってはいけないと思う」という意見も出ました。

もちろん、正解はありません。ですが、参加者は、一つ一つのカードについて話し合いながら考えを深めながら、話し合いのプロセスの中で、お互いの視点の違いを楽しんでいたようでした。具体的な事柄を話すことで、そして「もし自分だったら…」と考えることで、今現在の教育の課題や、より良い教育の在り方について、それぞれの考えを深める時間となりました。

最後に、グループごとに書いた「首相・外務大臣に向けた手紙」を持ってフォト・アクションをしました。
Raise your voice!!良い写真ですね^^
この写真とともに、皆さんに書いていただいた「首相・外務大臣への手紙」は責任を持ってキャンペーン事務局が政府に届けます!

最後に、参加者の方から出た感想の一部を紹介します。
  • 新しい発見をグループの中ですることができ、色々な人たちと色々な考え方を知りあうことができる大切さを改めて感じた
  • どんな状況でも、背景がどうなっているかを知る必要があると感じた。
  • 自分の価値観で物事を判断しがちになっていることに気付かされた。
  • ワークショップで理不尽な環境に置かれている人達が沢山いることを学び、「私たちはいけないのか」という極端な発想になりそうでだったが、そうではなくて出来ることから始めるのが大切、例えばフェアトレードの商品から買う、状況を友人に伝える、国の方針を決める政府に声を届ける等、グループの方の意見から気付きを得た。
  • 日本だけが良い、ではなく、世界が良くなるために日本に、自分に何ができるか、考える事が出来た。
今年のキャンペーン期間は5月31日(水)まで。
今年からの新アクティビティ「ちがいのちがい」はもちろん、各アクティビティで注意すべきことなど、今年の教材は非常に分かりやすくバージョンアップしています!昨年までの教材がお手元にある方も、絶対にこちらから今年の教材をダウンロードしてください
世界の子どもたちの教育のために、より大きな声を日本政府に届けましょう!
皆様のご参加をお待ちしております。
(報告:小口)

●「世界一大きな授業」とは…
現在、世界で小学校に通えない子どもは6,100万人、読み書きができない大人は7億5,800万人も存在します。こうした事実の背景には、戦争や貧困などはもちろん、教育の機会が与えられなかった人々が直面する厳しい現実など、さまざまな問題が隠れています。2015年9月に国連総会は「持続可能な開発目標」(SDGs=Sustainable Development Goals/通称:エス・ディ・ジーズ)を採択し、2030年までにすべての子どもが質の高い就学前教育、初等教育、中等教育を受け、大人の識字率も大幅に改善することを新たな目標として掲げました。

「世界一大きな授業」とは、そんな世界の現状に目を向け、教育の大切さを、同じ時期に考えようという地球規模のイベントです。「世界中の子どもに教育を」を合言葉に、2003年にスタートし、2008年には、885万人が参加し、ギネスブックにも登録されました。日本でも2016年には、764校・グループの56,234人が参加しました。

2017年も、世界中のNGOや教職員たちのネットワークを通じて、世界100カ国の小・中・高等学校や、大学、専門学校、各種団体などで、一斉に開催されます。また、今年からは新たに、授業を受けた「生徒」たちが提言を発表するフォト・アクション「Raise Your Voice!(レイズ・ユア・ボイス!=声をあげよう)」という活動への参加を呼びかけます。

【主催】教育協力NGOネットワーク(JNNE)
【「世界一大きな授業」はJNNE に参加する次の団体が実施しています】オックスファム・ジャパン、開発教育協会、シャンティ国際ボランティア会、日本YMCA同盟、プラン・インターナショナル・ジャパン、フリー・ザ・チルドレン・ジャパン、ラオスのこども、ワールド・ビジョン・ジャパン
【公式サイト】http://www.jnne.org/gce/
※授業を実施される方は、必ず事前に申込みをして今年の公式教材をご利用ください。

2017年3月30日木曜日

たくさんの学びとやる気を得られた5ヵ月間

みなさんはじめまして。事務局ボランティアの小泉晴香です。
2016年秋から約5ヵ月間、DEARの活動のお手伝いをさせていただきました。

大学休学中の活動の一つとして関わらせていただき、毎週通っていたDEARですが、来月からの海外渡航を機に離れることになりました。そこで、今日までボランティアとして活動していた私が感じることを少しお話ししたいと思います。

①DEARに来た理由
大学の授業でグローバル教育を実施している団体を探していて、DEARを見つけました。社会問題の解決には教育の力が必要だと感じていた私は、休学中の活動の一つとしてぜひ開発教育に関わりたいと思い、DEARでボランティアを始めました。(私が授業をとってお世話になっていた教授がDEARの方であることは後に知ることとなります)

②どんな仕事をした?
イベントに際しては、配布資料や名札の準備、現場でのアシスタントなどをしました。他にもアンケートの集計などの事務仕事、子ども向けワークショップ用のお面づくりやカード作りなど様々な仕事をさせていただきました。

ワークショップ用のライオンのお面。上手!
段ボールで手づくりしました
③心に残っていること
2つあります。1つ目は「開発教育フォーラム」(以下、フォーラム)にボランティアとして参加したこと。2つ目は「フリースペースえん」に行ったことです。

フォーラムでは、全国各地から集まってきた参加者の皆さんが熱く語り合う様子を見て、日本にはパワフルで行動力のある人がこんなにもいるんだ!と感動させられました。社会人になり、忙しくなっても自分のやりたいことに携われるんだという自分の将来への自信にもつながりました。

「えん」では、自分が作ったカードやお面が子どもたちの学びにつながっていることに喜びを感じました。それとともに、自分がその年齢の時には考えもしなかったようなことについて真剣に考え、自分の意見を堂々と話す姿を見て、小さなうちから様々な課題について考える機会があることの重要性を改めて実感しました。

檻の中のライオン』を元にした憲法について考えるワークショップ。
④DEARへの提言や励まし
色んなことが次々に変容していく中でもぶれずに、ぜひ今のままのDEARでいて欲しいです!これからも応援しています!

⑤ボランティアを終えて…
本当にたくさんの事を勉強させていただきました!一言に開発教育といってもそれがテーマとすることは多岐に渡り、それに携わるDEARの方々とのお話は刺激的なものばかりでした。

特にこれといってできることがない私にも優しくお仕事を教えてくださり、いつも温かい気持ちにさせられていました。しばらく東京を離れてしまうため、これまでのような頻度で関わることは難しいですが、これからも何かしらの形で関わっていきたい、そう思わせてくれる場所でした。ありがとうございました!
(小泉晴香)

スタッフ一同からの感謝状(左:小泉さん/右:中村事務局長)
ボランティアには好きな教材を1つプレゼントしております!小泉さんが選んだのは『地球の食卓』でした。
※事務局より:DEARでは事務局ボランティアを募集しています(平日昼間中心/週1回~)。ご興味のある方はこちらをお読みください。

2017年3月15日水曜日

身近な対立から、憲法と権利を考えてみた!

こんにちは。ボランティアの木村です。
2月15日にフリースペース「えん」で今年度5回目のワークショップをしました。

その日はスタッフたちが「えん」に到着する前から、「今日は天気がいいからみんなお外で遊んでいてワークショップに集まらないかもしれない…」と思うほどの気持ちのいい晴天で、やはり子どもたちはお昼ご飯を食べ終えるとどんどんお外に出て元気に遊び始めました。テーブルの周りに集まったのは数名…。しかし、この「自由さ」こそが、「えん」ならではです。

今回は前回に引き続きバリマタ王国(※)での動物たちのやり取りから憲法・権利について考えました。前回は王様ライオンの暴走を食い止める内容でしたが、今回は、バリマタ王国の平和な日常の中に起きた対立から、身近な問題について考えました。

1つ目は、腹太鼓の練習をしたいタヌキと、静かにマンガを読みたいワニの対立。みんなのスペースでそれぞれのやりたいことをするには権利が対立してしまう時があるけれど、どうすれば良いのか。タヌキ役の能條さんとワニ役の西野さんの熱演により、問題がより身近に感じられます。

どちらの言い分もわかるけど…どうすればいいかな?

「違う場所でやればいいじゃん」という子どもからの提案に対して、タヌキは「みんなに内緒でやりたいから外ではできない」という返答。うーん、じゃあどうしようか…。その後も続々と提案が上がり、最終的にタヌキとワニは「じゃあ僕は1時間クッションを付けて練習するから、そのあとは音を出してもいい?」「うん、じゃあそのあとは僕が違う場所に行って読むよ」とそれぞれ譲歩し合う事が出来ました。


2つ目は、「他の人には言わないでね」という約束で自分の秘密を話したキツネと、その秘密をみんなに話したタヌキの対立

タヌキは表現の自由を主張しているけど…?
子どもたちからは「言わないでね、と言われたことは言っちゃだめだよ」という声もあれば、「でも(みんなに)言いたいよ」「キツネが秘密なことをタヌキに話したのが悪い」という声もありました。誰にでも、秘密をばらしてしまった、或いはばらされてしまった経験があるのではないでしょうか?どちらの立場も身近だからこそ難しいですね…。最後は、「タヌキはキツネにあやまったほうがよいよ」という子どもたちの声に励まされ、タヌキはキツネにあやまりました。

最後は、ワニが不在だった会議で自分が組体操のピラミッドで一番下になることが決まり、後日それを知ったワニが嫌がっている、という集団と個人の対立

「休みだったんだから仕方ない」「多数決で決まったんだから」という意見もありましたが、「いや、ワニが嫌だって言っているならもう一度考え直さなきゃ」「何度でも話し合おう」ととてもポジティブな方向に話が進み、内心スタッフは驚きました。

身の回りにいつだって起こりうるけど、明確な答えがあるわけじゃない。そんな時にどうやって解決したらいいかを権利の面から子どもたちに考えてもらう、というのが今回のねらいでしたが、子どもたちは前回学んだ色々な権利も踏まえて色々な提案をしてくれて、スタッフ側もうれしかったです。


そのあと、前回もゲストに来てくれた久保井奈美さんから、権利のバランスや、個人の権利は大切だけど、みんなの迷惑になってはいけないという「公共の福祉」ということを説明してもらいました。一人の権利と大勢の権利はひとしく大切なことも学びました。

また、嫌なことは「いや」と言っていいんだということも学び、終わりに、そんな対立が大きくなって戦争になる過程を分かりやすく示す「戦争のつくりかた」という映像を見ました。



少し怖くてショッキングな内容ですが、今の日本はまさに、2004年に作られたこのお話に日々近づいているように思えます。参加者からも、「2004年の時に見た」「このアニメで言っていることは6割くらい既に起きているよね」という声も挙がりました。

映像の中で、「大人は忙しいとか言って戦争がつくられていくことに気づこうとしないから、あなたが変だと思ったら『大変だよ、おかしいよ』と言ってください」というフレーズがあります。おかしい事には「おかしい」と言う、嫌なことには「いや」と言う。日本が再び戦争ができる国になってしまう前にそれを阻止するためにはまず国民が声を上げなければ、と改めて気づかされました。
(報告:木村明日美)

※第4回目(1月20日)にバリマタ王国(たまりばを逆にした名前)で、王さまのライオンが勝手に法律を決めたり、都合のよい政治をしようとすると、子どもたちが適切なカードを見せてそれをストップする。(憲法で国の権力を縛る)というワークをしました。レポートはこちらからお読みいただけます。

2017年2月21日火曜日

世界がもし100人の村だったら@よこはま国際フォーラム

2月5日(土)、JICA横浜で実施されたよこはま国際フォーラムにて、DEARでは「世界がもし100人の村だったら~SDGsを一緒に考えよう~」というワークショップを実施しました。DEARスタッフの伊藤・小口がファシリテーター、ボランティアの木村がアシスタントを担当しました。

多くの団体が盛況に催し物を行なっている中、始まる前は「参加者が少なかったらどうしよう」と不安に思っていました。しかし準備をしているとすぐに、壁に沿って輪のように椅子が並べられた狭い会議室は人でいっぱいに!参加者は小学生から年配の方まで、本当に老若男女様々でした。

まずはアイスブレーキングとして「行ってみたい世界の地域」ごとにグループを作り、「その中でどこの国に行きたいのか?何故か?何をしたいのか?」また「今まで行った国で経験したスゴイこと」などを共有してもらいました。

「体験したスゴイこと」では、「タイに行った時にトイレに紙が無く、横にあったシャワーでお尻を洗った」という共有もあり、参加者からは驚きの声が上がりました。


いよいよ、100人村のワークの始まりです。参加者一人ひとりに運命の「役割カード」を配布し、「カードに書いてある言葉で挨拶をしながら同じ言葉の仲間を捜してください」と伝えると、アイスブレーキングで場が和んできたからか、大きな声で挨拶する人がたくさん!

グループができたところで、「一番多く話されている言葉は?」と聞くと「英語!」という意見が多かったですが、一番人数の多いグループが「ニーハオ!」と言うと、「ああ~!」と「ええ~!?」の二通りの声。このワークを通じて、国の数と言語の数の差、宗教と言語の関連、植民地のつながり、日本にも言語が複数あることなどを学びました。

次に、大陸を表した紐の中に入るワークでは、余裕で座ることが出来る他地域と比べて座ることが出来ないほどギュウギュウなアジアの人口密度の高さが浮き彫りになりました。さらに、CO2排出量を表す紙をグループごとに配ると、アジアの紙の枚数の多さに他の地域からはブーイングが起こりましたが、人数で割ると北アメリカの方が大量に排出していることが分かり驚いていました。

大陸ごとのCO2排出量を比べてみると‥(展開のためのアクティビティ「地球温暖化を考える」)
また、富を表す30枚のクッキーを富のレベルに応じて5グループに配分するワークでは、はじめにグループごとに自分たちがもらえるであろうクッキーの枚数を予想し、発表しました。

一番裕福なグループが「20枚」と言うと、周りのグループからは「それはもらいすぎだ!!」との声があり、最終的に全グループの予想を合計すると予算オーバーの37枚に。続いて実際にクッキーを配ってみると、1番裕福なグループは予想より多い枚数で、1番貧しいグループは1枚すらもらえない結果に。クッキーが渡される度に大きな驚きの声が上がり、一番の盛り上がりを見せていました。

裕福なグループがまず1人1枚分けて残りはどうしようかと話し合う横で、貧しいグループは0.8枚を6人で分けようとして粉々に崩れ、嘆き声が響いていました。スタッフが「どうぞ自由に食べてください」と言うと、続々とグループ間のお裾分けが始まりました。1人1枚食べることが出来ないグループからもより貧しいグループにクッキーのお裾分けがあり、優しさにあふれたあたたかい雰囲気になりました。

所得が多いのは‥?
最後に、このワークショップのもととなった「世界がもし100人の村だったら」の文を輪読し、一番気になった部分が同じ人同士で集まり、なぜそこが気になったのか、なぜこのようなことが起きているのか、などを話し合いました。

「世界がもし100人の村だったら」のメッセージを輪読
初めて知ることばかりの参加者の多くは、世界の大きすぎる格差に愕然としつつも、自分の立ち位置を探り、どうすればいいのかを話し合う良いきっかけになった様でした。

挨拶で仲間を捜したり人口密度の高い紐の中に入ったり、かけらのようなクッキーを食べて多様な世界を感じると共に、自分が、クッキーの3分の2以上を握る裕福なグループの一員であり、100人の村の裕福な上位8人の内の1人であることを身を以て実感する時間となりました。

やはり実際に動いて話して自分でない人になることで、外側から自分自身と世界との繋がりを見直すことが出来る参加型学習はとても楽しいと感じました。
(報告:木村明日美)