国会議員と中学生が語り合うイベント「15人の15歳と語る!15年後の世界と日本」が開催されました!

こんにちは。インターンの藤田真理です。
最近は急に寒くなり、肌も乾燥し始め、冬の足音が聴こえてきそうですね。

さて、去る10月7日(水)15:30~17:00、国会議員と15歳の中学生が語り合うイベントが開催されました。その名も…「15人の15歳と語る!15年後の世界と日本~SDGsを通じて、2030年の未来を考えよう!~」

このイベントは、MDGs達成のために設立された市民社会ネットワーク「動く→動かす」がaction/2015の一環として企画・運営したもの。
2000年生まれ、2015年に15歳、SDGsが終わる2030年に30歳になる「MDGs/SDGs世代」の15人(中学3年生)が国会議員と「15年後の世界と日本がどうなっていてほしいのか」について語るものでした。
DEARは「15人の15歳」の事前学習をお手伝いして来ました。
彼/彼女らは埼玉県上尾市にある、公立上尾東中学校の中学3年生。
この学校は今年度より、文科省の研究開発学校に指定され、グローバルシティズンシップ科を導入しています。その一環として今回のイベントへも参加して頂きました。
生徒さんたち、7月からの約3ヶ月間、一生懸命準備をしてきました。
なんと、夏休みを返上して集まったこともあったとか!

事前学習を見てきて思ったことは、「自主性」があるということ。
何も言わずともチームで集まって話し合いを重ねていたようです。
チームは全部で3チームあり、それぞれのテーマは「エネルギー」「教育」「格差」でした。
彼らの話し合いに同席させてもらっていると、こちらも「おぉ、そうきたか!」と思わされる場面に数多く遭遇し、非常に面白かったです。

イベント当日。
内閣の組閣日とかぶったため、国会議員の方々の参加がふるわないのではと心配されましたが、蓋を開けてみれば19人の国会議員と15人の15歳の語り合いが実現しました!100人を超えるオブザーバーの方も参加し、非常に熱のあるイベントになりました。
こんなに沢山の国会議員の方が参加して下さったNGO系のイベントは珍しいとのこと!素晴らしい!
中学生の質問・提案はかいつまんでの説明ですが、それぞれ…

【教育】
教師の数が足りていない現状に対し、教育ボランティアの普及と教員養成の強化を提案。
日本を含め、世界で、なぜ軍事費を教育費に充てられないのか。その先駆けとして日本が軍事費を減らし、教育援助費に充てたら良いのではないか。
教育チームの2人と「教育ボランティアの普及と教員育成の強化」のスケッチボード
【エネルギー】
「エネルギーの国境をなくすこと」がこれからの課題ではないか。そこには2つの意味がある。1つ目、未来のこと考えてクリーンエネルギーの開発に世界全体で(貧しい国も)資金を出し合い協力し合うことが必要。その際に日本もODA総額とその中におけるクリーンエネルギー開発充填額を増やすべき。
2つ目、世界で技術を共有すること。特に、途上国に中古の太陽電池を届け、技術移転の一歩とするのはどうか。日本の負担するコストを減らしつつ、新しいごみも出さず、夜間の作業を可能にすることにより技術移転の可能性が広がるのでは?

【ジェンダー格差】
男女が平等に仕事と家庭を両立できる社会になって欲しい。そのためには組織のトップから女性の大変さを体感・実感し、考え方の革新を図る必要があるのではないか?

みんな堂々と自分たちの準備の成果を国会議員の方々に対して伝えていました。そして、この中学生の真剣な質問に国会議員の方々も真剣に応えてくださいました
事前に中学生の質問を国会議員の方々には配布していたのですが、しっかりと目を通してきてくださった様子も受け答えからも伺えました。
それだけでも中学生には「自分たちの意見は聴いてもらえる」という自信に繋がったのではないかと思います。 

教育チームは、世界の軍事費と教育費をテープで示すというデモンストレーションを行ないました。その際、会場から拍手が起こり(!)、その後の国会議員の回答では、「軍事費に関しては、そんなに簡単に減らせるものではないという回答を準備してきたが、このデモンストレーションを見て、そんなことは言えないと思った。では、軍事費を減らすには具体的にどうすればよいのか、そこが問題。もっと調べて、一緒に考えていけたらと思う」という、真摯な回答をしてくださいました。
教育チームの世界における軍事費と教育費の比較デモンストレーション。左の黄色いテープが教育費、長いオレンジ色のテープが軍事費。
また、エネルギーチームの中古の太陽電池に関しては、「地元企業に実際に提案してみようと思います!」と宣言してくださった方もいらっしゃいました。その言葉を聞いた中学生の顔が、一瞬にして輝き「やった!!」という表情を見せていたのが印象的でした。
イベントの記念に写真撮影。中学生、国会議員の方々、関係者の方々と
写真撮影後、中学生たちは国会議員の方々と直接話し合っていたようです。
8月頃、このイベントに参加した動機を聞いたところ、
「国会議員に会えるから!自分の考えを直接伝えられるから!」
といった意見が多かったことを考えると、彼らの目的はしっかりと果たされたのかな、と思います。

イベントの全てを終え、休憩室に戻り、関係者と中学生だけで感想共有も行ないました。
関係者からは、
「素晴らしかった、これからも一緒にがんばりましょう」
「感動して、涙腺が崩壊しました」
「これをきっかけにもっと色んなことに興味関心を持って欲しい」
「自分も、もっと学ぼうと思いました」
「君たちの役目はしっかりと果たしてくれた、ありがとう」
などの意見が聞かれました。

その中には、この日の中学生の提案を受け、
「自分は子どもが出来たら育休を取ることをここに約束します!!」
と宣言した方も。

一方、中学生も
「一人一人が頑張ったからこその成功。このメンバーでやれて、よかった」
「色々な方の支えがあったことに感謝したい」
「本当に貴重な機会だった。これを活かして行きたい」
「最初は自分たちの話なんて聞いてくれるかと思ったけど、聞いてくれて嬉しかった。自分たちにも可能性があることが分かった」
「男子も今日から皿洗いしよう!」
などの感想がありました。

色んな学びがあったようですね。
この学びは、もちろん、生徒たちだけで作りあげたものではありません。
生徒たちを日頃から見ている先生方の存在があってこそ!
事前学習の中でも、生徒たちの考えを引き出すような問いやアドバイスなど、先生方の力を目の当たりにしました。

中学生のみんなににとって、このイベントに関わったことが社会と関わりを持つことに対する「自信」や「勇気」になったらなと願っていますし、密かに信じています。

そして、このイベントに参加した国会議員の方々を始めとした「大人」の皆さんにも15年後の未来を考え、行動に移すきっかけとなっていればと思います。

「動く→動かす」とは
ミレニアム開発目標(MDGs)を達成し、貧困問題を解決するために2005年に発足した世界的な市民社会ネットワークGCAP(Global Call to Action Against Povertyの略。ジーキャップ)。世界131ヵ国にまで広がるこのネットワークの日本版として設立されたのが、「動く→動かす」です。現在、途上国の貧困問題解決に取り組む日本のNGOが70団体以上参加しています。

(報告:藤田)

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